環境問題なら教師がそれぞれの専門性を活かしながら指導できる
'99年度、富岡西高校は文部省(当時)の「総合的な学習の時間」の研究開発校に応募し、指定を受けた。同校の課題である自ら学ぶ生徒を育てるには、「総合学習」が効果的であると考えたからだ。「これはもう、全く疑いませんでしたね」と近藤先生は語る。'99年度は研究構想の期間に充て、実際の取り組みは'00年度からスタートした。
同校が「総合学習」を実施する際に考慮したことに、一人ひとりの教師の負担感をできるだけ少なくするということがあった。そこで浮かび上がってきたのが「地球と環境問題」というテーマだった。環境問題なら、生態系の破壊については生物科教師、産業革命以降の歴史的推移は地歴科教師、環境評価のための統計処理の技法は数学科教師といったように、教師がそれぞれの専門性を活かしながら指導ができる。この“専門性を活かせる”というのは大きなポイントだという。
「『総合学習』というと、すぐに教科の壁を越えてとイメージしがちですが、高校教師にとって自分の専門外のことをやるのはたいへん不安です。生徒は教科外のことに足を踏み出すことになりますが、教師の側は自らの専門から生徒を支援する形にした方が、教師の不安感を取り除くことになるではないかと考えたのです。でも、教師の負担感の問題は、実際には杞憂だったように思います。芸術の先生方にも恐る恐る協力を依頼したところ、『音楽と環境とは深いかかわりがありますよ。ベートーヴェンにも田園交響曲というのがあるでしょう』と逆に指摘を受けました」
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