事例研究3
広島県立尾道北高校
「キャリア教育」を軸に学校づくりを行う
尾道北高校は'98年度に総合学科に移行したが、当初から進学校型総合学科を目指していた。生徒が明確な目的意識を持ち、大学や社会で通用する総合学力を身に付けることを目標に行われている「キャリア教育」は、普通科高校から見ても参考になる点が多い。
生徒の変化に対応して普通科時代から「キャリア教育」に取り組む
尾道北高校が総合学科に移行したのは'98年度のこと。だが、現在の同校の生徒育成の軸となっている「キャリア教育」が開始されたのは、普通科時代の'94年度にまでさかのぼる。
かつて同校は早朝補習や放課後補習に加えて、ショートホームルーム時にも小テストを課すなど、知識注入型の指導を行ってきた。しかし、'90年代に入って、大学合格だけの目標で生徒に勉強させるということが難しくなってきた。また、この頃から受け身型の生徒も目立つようになってきた。そこで、生徒に将来の目標を持たせ、それを学習意欲や自主性の向上に結び付ける「キャリア教育」の取り組みを始めることになったのだ。1、2年生を対象に、ホームルームの時間のうち約20時間を進路学習に割り当て、大学訪問研修や地元事業所訪問、さらに修学旅行では東京・筑波方面にある事業所・研究所訪問などの活動を重ねていった。
そして、'98年度、総合学科制がスタートする。総合学科というと一般には、就職から進学まで生徒の多様な進路に対応する学科というイメージがあるが、同校は進学校型総合学科を当初から目指していた。その背景を東風上清剛校長はこう語る。
「前身が専門高校なら職業に直結するカリキュラムを用意できるでしょうが、本校にはそういったノウハウはありません。持っている財産は進学指導だけです。それなら『キャリア教育』を深化させ、目的意識を持って大学に進学する生徒を育てることを、尾道北高校総合学科の特色にしようと考えたわけです」
広島県立尾道北高校
設立75年。共学校。全校生徒数約700名。「社会情報」「ヒューマンサイエンス」「国際文化」「グローバルサイエンス」「理数情報」「生命科学」の六つの系列を持つ総合学科。'00年度入試では、広島大14名、山口大10名をはじめ、国公立大に131名が合格。私立大は、立命館大13名、龍谷大10名など。部活動では陸上部、放送部が全国大会出場経験を持つ。
住所/尾道市長江3丁目7番1号 電話/0848(37)6106
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広島県立尾道北高校校長
東風上清剛
Kochigami Kiyotaka
教職歴36年。'98年度より同校に赴任。「生徒には、基礎基本をしっかり身に付けさせたいですね」
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広島県立尾道北高校教諭
向井勝也
Mukai Katsuya
教職歴20年。教育研究部長。数学科担当。「キャリア教育には、以前から可能性を感じていました」
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広島県立尾道北高校教諭
米村文香
Yonemura Fumika
教職歴17年。同校に赴任して3年目。国語科担当。教育研究部所属。「日々変わる生徒の様子が楽しみ」
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