VIEW21 2001.04  特集 総合学習を軸に考える学校づくり

「キャリア教育」の大きな柱となる三つの原則履修科目

 「『キャリア教育』を深化させ、目的意識を持って大学に進学する生徒を育てる」その柱の一つに、生徒全員が履修する総合学科原則履修科目の「産業社会と人間」、「情報基礎」、「課題研究」の3科目がある。同校では、主体的な進路選択力を育成する視点から、これらの科目に系統性を持たせた取り組みを展開している。
 まず「産業社会と人間」は1年次に履修が義務付けられ、職場体験などを通じて進路選択に必要な知識・能力を養うことを目的としている。同校ではこの時間を活用して、図書資料による学部・学科研究や職業研究、広島大などが実施する学部・学科公開ガイダンスへの参加、地元の企業・事業所訪問などを行っている。
 同校の1年生に話を聞いたところ、皆「『産業社会と人間』で学部・学科研究や大学訪問をしたことが、自分の将来設計にすごく役立っています。目的がはっきりするとやる気がでますね。2年次以降の勉強が楽しみです」と一様に答えてくれた。
 2年次は「情報基礎」。ここで力を入れているのは、情報機器の操作能力やプレゼンテーション能力を身に付けることだ。同校では2年次に修学旅行で、進路希望別の班に分かれて東京の企業や大学を訪問する。その活動と「情報基礎」を絡めている。具体的には、生徒は事前にインターネットなどで訪問企業・大学の内容を調べ、「修学旅行のしおり」を作成。さらに修学旅行後、研修成果をパソコンを使ってまとめ、発表する。
 そして、3年次の「課題研究」では、生徒が自ら課題を設定し、個人研究に取り組む。教育学部志望者なら「学級崩壊」、生物学科志望者なら「遺伝子組み換え」というように、自らの進路に直結したテーマ設定がほとんどだ。この学習を通して、課題発見能力・探究心を高め、大学教育における「課題探求能力」につなげることをねらいとしている。この「課題研究」が「総合的な学習の時間」に位置付けられているが、1、2年次の「キャリア教育」の上に成立しているのは言うまでもない。

図6 育成したい学力と方略

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