VIEW21 2001.06  クラス運営・進路学習のためのVIEW'S method
 模試を活用した指導

■part 2■ 事前指導
模試などに対する「三つの姿勢」を授業で養う

 学力は、授業に真剣に臨んだ生徒、学ぶことに素直に取り組んだ生徒の方が伸びる。模試も同様だ。真剣に取り組み、そこから何かを学び取ろうとする生徒ほど得るものも大きい。本気で模試を受けなければ真の実力を測れるものではなく、点数、偏差値などの結果は何の意味ももたらさない。1年次から模試の位置付けを生徒にきちんと理解させ、模試に対する心構えを指導することが必要だ。
 心構えには「解こうとする姿勢」「考えようとする姿勢」「伝えようとする姿勢」の三つの姿勢がある。解こうとする姿勢がなければ問題の意図を汲み取ることができず、考えようとする姿勢がなければ問題に深く入ることはできず、伝えようとする姿勢がなければ採点者に自分の意図が伝わる解答を書くことはできない。
 この三つの姿勢は模試に対してだけ求められるものではない。定期考査でも、実力テストでも、そして授業においても最も大切なことだ。しかも、こうした姿勢は指導してすぐ身に付くものではない。1年次から授業の様々な場面で生徒に問いかけ、体で覚えられるように指導していきたい。
 模試の実施前には、その回の模試の目的を伝え、生徒の学習へのモチベーションを高めさせる。特に受験本番は試験が連続する。それに対応するためにも3年次では緊張感を継続させて受験することの大切さを理解させ、各自が課題や目標を持って模試に臨むように仕向けたい。マーク式模試は、教科ごとの目標点を具体的に設定して取り組むようにさせるとよいだろう。

出題者のねらいと採点者の視点を意識させる

 答案用紙の書き方は事前に指導する。マーク式ではケアレスミスをしないよう、鉛筆でのマークの仕方、消しゴムでの消し方の他、二重解答や解答欄のズレがないかを必ずチェックするように伝える。
 記述式の問題では、出題の意図を正確に読み取り、その上で伝えたいことを論理的に表現する力が求められる。1年次から折に触れて文章を書かせたり、定期考査などで記述式の問題をどんどん解かせて、記述力を身に付けさせていきたい。文章を書く力は、他人の文章を読み取る力にも通じる。書かせることで出題のねらいを正しく把握できるような力が付く効果も期待できる。
 また、記述式では部分点を取る解答方法を身に付けさせておかないと、受験本番でも解答欄を空白にしたまま提出してしまう生徒が出てくる。全力を尽くして間違うのなら諦めもつくが、本当はある程度答えられるのに解答を諦めてしまって全然点数が取れないのは惜しい。答えられる部分だけでも書く、途中まででも書く、大筋だけでも書く、といった部分点の取り方を具体例を挙げながら指導したい。記述式になると模試の成績が下がるような生徒に対しては、答案の書き方が身に付いているのかどうかを確かめる必要があるだろう。
 自己採点の方法も事前に徹底させておきたい。答案用紙に書いた解答をきちんと残しておかないと、自己採点と実際の点数が大きく異なることもあるからだ。マーク式の模試でズレが生じているとなると、センター試験の自己採点で正確な得点が分からないということも考えられる。自己採点と返却された答案とで採点は合っているか、生徒自身に確かめさせるという作業を、最初の数回の模試で実施するとよいだろう。


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