VIEW21 2001.06  クラス運営・進路学習のためのVIEW'S method
 模試を活用した指導

■part 3■ 事後指導
自己採点をさせ間違えた問題を復習させる

 模試を一番よく活用するのは3年次となるだろうが、それまでに模試を教材とした復習の仕方、個人成績票の見方を指導し、生徒に模試を有効に活用する習慣を身に付けさせたい。
 復習には二段階ある。まず、受験後すぐ、生徒に自己採点させ、間違えた問題を復習させる。例えば、教科ごとにノートを1冊用意させ、間違えた問題について解答・解説を見ながらもう一度解かせて、気付いた点をノートに書かせる。ノートは提出させ、担当教師はきちんと問題を解いているかなどをチェックし、コメントを書いて生徒に返す。間違えた生徒が多かった問題、授業で教えたレベルを超える問題については、授業中などに解説する。
 二段階目として、個人成績票の返却時など、時間が経ってから再び問題に取り組ませる。忘れた頃に同じ問題を解くことで、知識が定着しているかどうかをチェックさせるためだ。模試では正解だった生徒が今度は間違えるなど、生徒にとってよい刺激となる。
 また、担当教科については、例えば学年内の上位層10人・中位層10人・下位層10人、計30人の答案を是非自分自身の手で採点してみたい。学力に関係なくできる問題、学力によって差が開く問題などを見極めることができるようになるからだ。

復習ノート例
復習ノート例
間違えた問題を書き出し、制限時間なく取り組ませる。なぜ間違えたのかを気付かせるため、問題に関連したこと、英語なら構文、数学なら公式など調べたことも書く。暗記が必要なものに関しては、5回~10回、反復練習をする。

生徒自身の手で成績推移表をつくらせる

 模試結果が返却されたら、そのまま生徒に渡していないだろうか。個人成績票や答案用紙は得点に現れない問題点を探ることができる。担任は生徒一人ひとりの個人成績票や答案用紙に目を通し、成績特性を分析するだけでなく、答案の書き方に問題はないか、部分点をどう取っているのかなどをチェックしたい。そして、一言でもコメントを添え、得点アップの可能な解答例を提示するなど、具体的な答案作成指導を行いたい。
 生徒に模試結果を渡したら、時系列の成績推移表を各自つくるよう指示する。総合成績だけでなく、国語、数学、英語の3教科は教科別に偏差値推移を記録させる。自分の手を動かして学習結果をたどることで、自分の成績動向を知り、弱点を発見できる。これを志望校合格に向けて努力する契機とさせたい。表づくりは1年次から継続して行わせて習慣化させる。
 個人成績票の見方は、1年次の最初の模試の前に学年集会やLHRなどを使ってしっかりと説明する。一度きちんと説明すれば、以降は年度当初の確認程度で済むだろう。

成績推移表例
成績推移表例
偏差値と実施月が書き込める白グラフを用意し、総合偏差値と国語、数学、英語の偏差値を一つのグラフに書き込む。1年次から継続して偏差値をたどれるように、模試の主催者が異なっても一つの表に書かせ、ファイルに綴じる。

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