VIEW21 2001.06  新課程への助走
 週5日制への対応状況

事例(3) 東京都立日比谷高校

教育目標を達成するために45分授業の実施を決定

 東京都立日比谷高校は前期・後期の2期制で、現在は50分授業・1日6時間、週平均33時間の時間割であるが、'02年度からは45分間授業・1日7時間、週35時間へと移行する。今年度の同校の入学案内にはその旨が明記されており、「週5日制においても、学習量を減らさず、学習の質を保つ」というねらいがある。
 同校では、'99年度からこの問題について検討を重ね、'00年度には実際に45分授業を1週間に渡って試行した上で'02年度から実施を決定した。日比谷高校が45分授業を導入する理由を、内田和博教頭はこう話す。「本校は普通科で、生徒のほぼ全員が大学進学を希望しています。一方で、全人教育を重視し、受験に有利なだけの科目選択制を導入していません。20年後、30年後の日本社会の中心として活躍する人物になってほしいと願い、そのための教育を行っています。このような学校の教育目標と照らし合わせたとき、現在行っているどの教科も切り落とすことはできない。一つひとつの授業時間が短くなる問題は、授業内容を工夫することで解決しようと考えました」
 45分授業を実施する場合は年間39回と、4回程度の授業回数の増加が求められるが、この点も同校では既に2期制だったため、なんとか目処を立てることができた。むしろ問題は授業内容の見直しだ。「わずか5分ですが、50分と同じ内容を45分で指導することは容易ではありません。教師側の意識の向上と、授業内容の精選が必要だと考えています」

土曜日は保護者が主催者となって自習室を開放

 さらに、同校では土曜日の活用の仕方の検討も進めている。土曜日に自習室を開放するというものだ。
 「休みとなる土曜日に、勉強したい、学校に行きたいという意欲のある生徒に対して、学校は何ができるのか。少なくとも生徒を支援する体制を整えたいと考えました」
 減った授業時間を補うための補習ではなく、学習意欲のある生徒をバックアップしていきたい、こうした考えをPTAに相談したところ、保護者の中に気運が高まり、「土曜日開放委員会」が設置された。以降、PTAを中心に検討が進められた結果、今年度後半から、第2・4土曜日は敷地内にある星陵会館(PTA・同窓会・学校が共同で運営する会館)の一室を自習室として試験的に開放することが予定されている。卒業生の中からPTAが選出する、生徒の質問などに答えるサポートティーチャーの導入も検討されている。
 「週5日制が根付くまでには、地域社会で生徒が活動する場が整っていないことも考えられます。学校が保護者と一緒になって生徒の意欲を受け止める体制をつくることも必要なのではないでしょうか」


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