VIEW21 2001.06  点から線の教育へ 中・高・大接続の深化形

高大連携の模索(1)

九州大
「21世紀プログラム」のねらい

 九州大では、'01年度から全く新しい学部横断型の教育カリキュラム「21世紀プログラム」をスタートさせた。当プログラムでは、諸問題をいち早く発見・解決できる新しい形の知識を修得し、それぞれの知識を組み合わせられる創造的な能力を備え、各分野でのリーダーシップが発揮できる人材を育成することを目的にしている。
 学生は学部を決めずに入学し、文系・理系の枠を越えた幅広い学問分野を学び、学士(学術)の称号を得て卒業する。全員がAO入試で選抜されているが、「21世紀プログラム」におけるAO入試の選抜方法と成果、今後の展望について、九州大アドミッションセンターの武谷峻一教授にお話をうかがった。

選抜のプロセスも教育の一環

 「選抜では、担当教員と受験生との間で、講義とレポート、発表・討論や小論文提出を通じた密接なやり取りをしてもらいました。受験生に入学後の学修プロセスや評価方法を実際に経験してもらい、受験という形を取りながら『大学で学ぶこと』を実感してもらうことを重視したのです。講義とレポートを採用したのは、選抜が丁寧になる上に多数の志願者にも対応でき、これらで学力判定ができるようになれば調査書も不要になり、将来的には年齢制限も外せるからです。これによって、大学生としての望ましい学修姿勢を志願者へ向けてアピールできると共に、受験生自身も新しい体験ができるわけです。
 受験生からの感想にも、『大学の講義を聴けて、これだけでも受けたかいがあった』、『(第2次選抜の発表・討論で)いろんな意見が出て面白かった』、『こんなに動き回れる試験は初めて』などがあり、選抜それ自体が教育の過程という認識を持ってもらおうとする私たちのねらいは、ある程度達成できたと考えています」

入学者のフォローを通じ学内外からの理解を

 「21世紀プログラムはまだスタートしたばかりで、学年進行に並行して教育内容の整備と充実を図らなくてはなりません。あえて学部を決めずに入学した学生に、学部を決めて一般入試などで入った学生よりはるかにハードな学修を要求するわけですから、カリキュラムの一貫性・整合性を保つために学内でも一層の理解と協力を得ていく必要があります。
 募集・選抜に関しても、採用した選抜方法が新しい試みなので、選抜日程も含め合格者の意見なども汲み入れた、より有効なものへと改善しなくてはなりません。これには当然、入学者の意識や成績などの追跡調査が必要です。その上で、東日本も視野に入れつつ、高校の先生方や受験生にプログラムの理念や趣旨を浸透させていかなくてはならないと考えています」

21世紀プログラムの選抜の流れ

<前ページへ  次ページへ>

このウェブページに掲載のイラスト・写真・音声・その他のコンテンツは無断転載を禁じます。