VIEW21 2001.06  特集 授業と家庭学習の連結を考える

 図6は数学と英語の家庭学習について、「ほとんどしない=x軸」と「60分以上している=y軸」に分割し、学力到達レベル別に整理したものだ。このデータによると、
(1)日曜日の方が10%ほど平日を上回っているが、自由な時間が多い割には勉強に充てず「遊び」に充てられている。
(2)学力到達レベル別で最も大きな格差が発生するのは、線分の長さから見てDとEの間で、Eは「ほとんどしない」つまり「自ら学ぶ」ことができない生徒が50%を越えている。
(3)両軸に位置付けられる構成比に従ってI~V群に区分すると、I群―A・B、II群―平日の数学A~Cと英語C、III群―D、V群―Eとかなり明確に区分できる。
(4)数学のA・Bの格差は小さく(平日は同一レベル)、同じ時間を充てているのに全国偏差値58の壁が破れない生徒はBの約53%に当たり、「努力しているのに、成果が見えない悩み」を抱えているようだ。
(5)英語と数学の日曜日は、ほぼ同じレベルで勉強しているが、平日の数学への取り組みは低い。特に、学力到達レベルが高いA―Bで、かなり大きな格差が発生している。これは、数学の学習がある程度「まとまった時間」を必要とする教科特性に起因しているのかも知れない。

図6 高校生の家庭学習の実態

「学び」の到達点や結果としての効果を生徒に示す

 このように考えてみると、4ページで指摘したように64%の生徒が効率的な時間の使い方について「何か良い方法は」と模索している実態が理解できるように思われる。このことは、図3に示されているように「教え方の上手な先生」のインセンティブなどに期待している生徒が62%に達していることと対応している。
 生徒は教師のインセンティブを求めており、インセンティブを与えると、図4に見られるように学力到達レベルが高いほど反応も高い。
 最近の高校生は、「納得」しなければ「学び」の行動に移りにくくなっているが、自分の学習不足は自覚している。それ故、教師が「勉強せよ」と強制するとかえって反発する場合もある。生徒を納得させるためには、功利的だとの批判もあるが、「今、学んでいることが将来こういった場面で役立ち、ここを克服すると入試問題に対応し得る」といった到達点や、結果としての効果を示すことが必要となる。


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