VIEW21 2001.06  特集 授業と家庭学習の連結を考える

教科研究
到達基準を越えさせるための教科指導のポイント

 「学力到達度評価共同研究」を踏まえ、各教科(英語、数学、国語)の立場から、主に到達基準を越えさせる指導を中心に、授業と家庭学習を結び付けるためのポイントをまとめた。


英 語
予習内容のコントロールが到達基準を越える鍵

 図7は、「授業への取り組み」について、英語の学力到達レベルA~Eごとの回答状況をグラフ化したものである。グラフから明らかなように、学力レベルが上がるにつれ、「予習したことを授業で確認する」と回答する割合が高まり、「授業に集中できない」割合は下がる傾向にある。このことから、英語においては授業の前準備を確実にしておくことが、学力向上の鍵になることが分かる。そこで英語では、「予習」の場面を中心に指導のポイントをまとめる。
 到達基準を越えられない生徒の特徴としては、五文型、準動詞など、基本的な文法の知識の習得が不十分であることが挙げられる。苦手意識から、「英語が嫌い」という生徒が多いが、地道な努力が決して無駄にならないことを理解させることが、到達基準を越える大きなポイントだと言える。
 このレベルでは、どこにポイントを置いて予習すべきか、また何が重要で何がそうでないかという判断ができない生徒が多いため、ポイントを絞って授業の前準備をさせる必要がある。具体的には、次の時間までに予習してくる箇所について、
・この文の意味は?
・この指示語が指す内容は?
・この文に含まれている構文、及び文法事項は何か?
・この文を書き換えるとどうなるか?
・この単語の文脈に最も適した意味は?
などといった質問を提示し、授業でその質問に対する回答が準備できているかどうかを、丁寧に確認していく。また、授業は一方的な講義形式ではなく、できるだけ多くの質問をすることによって緊張感を保つようにしたい。予習をしない生徒には厳しい態度で臨むことも必要である一方、確実に予習をしていることをきちんと評価する姿勢も重要である。いずれにしてもこのレベルでは、単に「予習せよ」の指示だけでは不十分だ。教師の側で予習内容を徹底的にコントロールする必要がある。

図7 英語の授業への取り組み

休日の家庭学習を充実させるための具体的な指示が必要

 週5日制が始まるに当たっては、土・日曜の英語の家庭学習についても「何をするのか」を具体的に指示することが必要だ。自己概念に関する調査において、「日曜日の英語の学習時間」を調べたところ、「2時間以上やる」と回答した生徒の割合は、学力レベルが高くなるにつれてその割合が増え、学力到達レベルAでは3人に1人が「2時間以上やる」と回答している。
 到達基準を越えられないレベルでは、授業で学習した内容を復習で反復しなければ、定着はおぼつかない。平日は予習で手いっぱいになりがちなので、比較的まとまった時間を取ることができる休日に、前の週の授業の復習を行う習慣を付けさせるとよいだろう。復習に当たっては、音読を重視したい。最初はゆっくりでも構わないので、正確な発音や意味のまとまりを意識して読ませ、次第にスピードアップさせる。このレベルの生徒にはできるだけ英語の音に慣れさせるよう心掛けたい。


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