VIEW21 2001.06  特集 授業と家庭学習の連結を考える

国 語
家庭学習へと誘う宿題や課題の準備が必要

 週5日制の実施などの影響で、国語の単位数は全国平均で約1単位程度減少することが、これまでの調査(ベネッセコーポレーション高校事業部「教科に関するアンケート結果報告」)から分かっている。今後は、当然ながら家庭学習の重要性が高まってくることになるだろう。
 しかし、今回の調査では、図9の通り、国語の自宅での学習時間は非常に少ないことが明らかになっている。その一方で、「宿題があれば必ずする」と回答した生徒は多く、特に成績下位層においては、宿題や予・復習などの形で家庭学習をある程度強制していくことも大事であることが分かる。

図9 日曜日の数学の学習時間

現代文で到達基準を越えるのに必要なのは「関係性の把握」

 今回の研究の結果から、現代文読解においては、「(文と文、文と語句などの)関係性の把握」、「語彙力(漢字力)」がポイントであり、それらを合わせた総合的な力として「要約力」が必要であるという分析結果が得られた。
 特に、到達基準を越えるためには「関係性の把握」が大きなポイントとなっている。家庭学習においても、その点を重点的に補強する方向で宿題などを与えることが大切だ。
 具体的には、教科書などに掲載されている文章(できれば短めで簡単な内容のもの)に対して、同義関係にある文と文(または語句)を線でつながせる、あるいは、対となっている語句を探してチェックさせる、などの作業が考えられる。これを家庭学習課題として与えるのであれば、予習という形を取るのがよいと思われる。
 また、文と文との関係を理解させるための基礎となる「語彙力」の強化という点では、同じく予習の一環として、文章中の語句・表現の意味を調べさせるとともに、その語句で使用されている漢字の意味も合わせて調べさせるということが考えられる。その際には、教科書ガイドなどは使用させず、自分の手で辞書を使わせることも大事であろう。

古典では声に出して読むことが壁を越える鍵

 今回の結果からは、「正確な読み」「文法・句法などの知識」が到達基準を越えるための鍵であることが分かった。また、自己概念に関する調査からは、到達基準を越えられない生徒は、予習などは行うものの、辞書を使用して自分で調べるなどの姿勢に欠けており、ガイドなどに頼っているという状況も見えてきている。
 これらの結果から考えられる到達基準を越えるための対策としては、まず、教科書などの古文・漢文の文章を声に出して「読む」ことが考えられるだろう。「読める」ようになることは、品詞など文法事項の理解につながり、古典特有の表現法などに慣れることができるなど、次の学習のステップにつながる。予習など家庭学習の場面において「読む」ことを徹底していきたい。さらに、予習において語句の意味や文法などを調べさせ、「知識」を身に付けさせることが必要だ。その際に、辞書や便覧などを使って「自分の手で」調べさせることを徹底させたい。

図10 日曜日の数学の学習時間

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