VIEW21 2001.09  新課程への助走
 週5日制に向けたカリキュラム編成の試み(1)

(2)授業時間5分減少のメリット
教師の緊張感と生徒の集中力を生み出す

 コマ数が増加する分、1コマの授業時間は5分も短くなる。考えようによっては、これまで授業の最後に行っていた大事なまとめに充てる時間がバッサリと削られてしまうわけである。この点に対する不安はないのだろうか。
 「生徒の高校入学時の学力は年々低下しており、同時に忍耐力の欠如が目につきます。現在の生徒の集中力から見て50分ではなく、45分の方が集中力を維持するためにはベターだと考えています。また教師の方も時間が十分あるとややのんびりした気分になり、かえって時間がない方がポイントを絞って『密度の濃い授業をやろう』という心理が働くものです。つまり、内容の精選と進度の計画性を熟考することで、45分でも50分授業に匹敵する学習効果を上げることが可能であると判断しました。逆に65分などの長時間授業の場合、生徒を集中させるために教師の側にかなりの教材研究と指導力が求められ、それにはそれ相応の力量(経験)が必要です。平均して考えてみると、各教科毎にシラバスを十分検討し、45分のコマ数を何回か増加させる方が、教育効果が高いのではないかと思います」
 以上から分かるように、同校が45分授業を'02年度から導入する理由は、ありがちな教科間の調整の困難さを回避するためではない。あくまでも、どうすれば同校の教育目標が達成され、同時にどのような指導体制をとれば生徒の学力が向上するのかを多様な視点から検討した結果なのである。

松江北高校校長が検討中のカリキュラム

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