VIEW21 2001.09  特集 国際化を視野に入れた進路観の養成

事例研究1

岡山県立邑久高校

出会いを通じて進路の可能性を広げ学びへと導く修学旅行

岡山県立邑久高校
1921年(昭和10年)開校の邑久実科高等女学校を前身とする。今回の海外修学旅行の対象である2学年の生徒数は約160名。'01年度入試では、国公立大に5名、私立大に52名の合格者が輩出。シンガポール・マレーシアへの修学旅行をはじめ、学校活性化へとつながる様々な取り組みに挑戦している。
住所/岡山県邑久郡邑久町尾張404 電話/0869(22)0017


異文化でのコミュニケーションを自己発見の契機に

 '01年6月、岡山県立邑久高校は初めての海外修学旅行を実施した。訪問先はシンガポール、マレーシア。近年、海外修学旅行を実施する高校は増加しているが、その中身やねらいは高校によって様々だ。邑久高校の初めての海外修学旅行について、校長の柴岡元先生はこう説明する。
 「本校の取り組みは、人々とのコミュニケーションが新たな自己発見の契機となることを大切にしています。実際に生徒がいろいろな人に会い、その人から生き方などを学ぶ。これは企画を立てる際に最も重視されたテーマの一つです。さらに、修学旅行をいかに生徒の主体的な学びの場とするかという点にも配慮しました」
 邑久高校の海外修学旅行は4泊5日。“人から学ぶ”取り組みのメインイベントは、2日目の夜の「国際理解セミナー」、3日目の午前中の「企業訪問研修」だ。今年度の修学旅行実施で中心的な役割を果たした藤原修先生は、この二つの取り組みについて次のように語る。
 「国際理解セミナーは、シンガポールで働く日本人による講演会です。今回は邦人専門の病院に勤める看護婦の方、そして日本貿易振興会(JETRO)の職員の方のお話を聞きました。海外で働くことのやりがいや苦労などをお話しいただき、生徒に将来どのように働きたいのかを考えさせるきっかけにしたいと思っています。また、異文化の中で働くことを、自分にもあり得ることとして生徒にリアルに感じさせたいですね」
 3日目の企業訪問研修は、班別に現地の日本企業を訪問し、日本人が外国で働く現場を見学する。
 「見学後は、働く人たちと生徒との質疑応答の時間を設けました。なぜ海外で働くのか、国際社会で活躍するためには、高校時代にどのような力を身に付けておくべきか、そういったことを生徒に感じ取らせたいと思っています」(藤原先生)
 また、企業訪問研修と並行して、一部の生徒たちはポリテクニック(polytechnic=工芸学校)を訪問し、日本語を学ぶ同世代の生徒と英語を用いて交流を図った。


写真 柴岡 元
岡山県立邑久高校校長
柴岡 元
Shibaoka Hajime
教職歴33年。'01年度より同校に赴任。「生徒が主体的に活動し、自立できるよう支援したい」

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