VIEW21 2001.09  特集 国際化を視野に入れた進路観の養成

6月27日
企業・学校訪問研修
班別自主研修

 訪問研修は病院、語学学校、銀行、など五つの企業、ニーアン・ポリテクニック(Ngee Ann Polytechnic)で行われた。
 病院の訪問研修に参加した生徒は、患者の気持ちを和らげるために、内装に様々な工夫を施した施設内を見学。日本とシンガポールの医療事情の違いなどについて日本語で説明を受けた。邦人向けの英語教室も開いている語学学校では、生徒はシンガポールでの生活の様子についての話を講師から聞いた後、英語の模擬レッスンを体験した。
 ニーアン・ポリテクニックを訪問した生徒たちは、同校で日本語を学ぶ同世代の生徒たちと、お互いの文化や生活について英語で話し合った。そして、生徒は持参した浴衣やけん玉などを紹介し、交流を深めた。

【生徒の感想】
・(ニーアン・ポリテクニックを訪れて)日本での生活などについては、なんとか英語で説明できたが、自分の将来の夢や目標などは、普段改まって考えないので、相手に伝えるのが難しかった。


 午後からの班別自主研修は、生徒が10人ずつのグループに分かれ、それぞれに現地の学生などが案内役として付いた。約4時間の自由行動の中身を決めるのは、やはり生徒と現地の学生とのコミュニケーションだ。実際、自分たちの行きたい場所を相手にうまく伝えられず、苦労していた班もあった。だが、その一方で身振り手振りを交えて積極的に意志疎通を図ろうとする生徒も見られ「今まで以上に英語を真剣に学びたい」という声も多く聞かれた。

【藤原先生】
 現地の学生の英語が早口で、うまく意志疎通できなかった班もありますが、こういうフラストレーションのたまる体験も貴重です。コミュニケーションがうまくとれない相手とどう付き合うのかということを考えることは、社会で生きる上での基本なのですから。

写真
シンガポールの学生たちと積極的な交流が図られた。

海外修学旅行を終えて

 今回の海外修学旅行の取り組みの中で、最も生徒が積極的に活動したものの一つがニーアン・ポリテクニックでの交流だ。
 「メールアドレスの交換など生徒同士で活発に交流していました。やはり年齢が近い者同士の交流はうまくいくのでしょう」(藤原先生)
 今年度、同校を訪れたのは受け入れ側の事情もあり全生徒の約4分の1。訪問する学校数を増やすのは簡単ではないが、確かに同世代の交流を中心に据えるのも一つの方法だろう。
 帰国後、邑久高校では修学旅行レポートの作成など、事後学習に取り組んだ。また、地区別懇談会を開催し、保護者に対して教師が実施報告を行った。
 「夏休みの中学生向けオープンスクール、そして9月の文化祭が修学旅行の最大のアピールの場です。生徒にデジタルカメラで取り組みの様子を撮らせて、学校のホームページで紹介するという取り組みももちろん可能です。どんな活動を行うかは、その年度の学年団と生徒が共に考えていくものですが、帰国後の活動が充実したものであれば、旅行に臨む生徒の意欲もより高まっていくはずです」(藤原先生)


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