職業研究 ■part 1■ 調べ学習
調べることで学問の深さ、広さを理解させる
学部・学科研究には二つのアプローチの仕方がある。一つは就きたい職業に近づくために、どんな学問を学ぶ必要があるかというアプローチ。もう一つは「大学で○○学を学びたい」という学問に対しての直接的な興味からのアプローチだ。
生徒は大学の学問といっても、文学や経済学、医学や工学など、限られたものしか知らないことが多い。大学では様々な研究が行われており、実は高校生が日常抱く些細な興味も、研究対象になり得ることを理解させたい。
調べ学習に当たっては、まず自分が志望する学部・学科について、選んだ理由、そこで何を学びたいかなどを書かせ、生徒の興味の方向を明確にさせる。その上で、研究内容をはじめとするその学部・学科の中身について、できるだけ多角的に調べさせる。
調べるためのルートは教師が提示し、生徒が自分で調べられる環境を用意してやることも必要だ。研究材料としては大学案内、シラバス、大学のホームページなどがある。進路指導室に、調べ学習に役立ついろいろな資料があることを伝え、積極的に利用させたい。
また、同じ学部系統を志望する生徒を、グループにして研究させる方法もある。生徒同士が学び合い、効率的で重層的な研究が期待できる。
生徒は、学部・学科の中身を調べるうちに、その学問に対する理解が深まり、大学の学問領域の幅広さや奥深さが分かってくる。また、現代は学問が細分化されていることや、同じ学部・学科名でも、大学によって研究内容が異なる場合があることにも気がつくはずだ。その結果、漠然と「○○学を学びたい」と考えていた生徒が、その学問のどの分野を学びたいのか、自分なりの基準で判断し選択できるようになる。
注意が必要なのは学際系の学部・学科だ。学部・学科名だけでは研究内容がはっきりしなかったり、生徒が想像していたものとは、研究内容がかなり異なることもあり得る。中身を判断しにくい学部・学科の例を挙げて、その学問内容を簡単に説明しながら「学部・学科の内容を名前から安易に判断してはいけない」と伝え、選択する際、注意するよう促す。
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