VIEW21 2001.10  クラス運営・進路学習のためのVIEW'S method
 選択力を育てる指導

自分の手と頭を使って調べることに意義がある

 学部・学科研究の目的は、生徒に学問のすべてを正確に理解させることではない。生徒が自分自身の手で調べ、自分の頭で考え、学問内容を理解し、自分で志望学部・学科を選択できるようになることがねらいだ。そのため、教師はサポート役に徹したい。例えば、複数の学部・学科で迷っている生徒に、生徒の気が付かない比較の視点を与えるとか、学問内容がある程度見えてきた生徒に、その学問で取り組みたいテーマが他の学問領域に含まれていないか、視野を広げて考えてみるよう勧めるといったアドバイスを行う。
 研究の成果はレポートなどにまとめさせ、発表会を開くようにしたい。本人のまとめとして役立つだけでなく、他の生徒がその成果を共有できる。

学部・学科について調べる項目例
   研究内容(ゼミ・講義の例)
   研究を行う上で求められる適性
   卒業後の進路
   取得できる資格・受験資格が得られる資格
   研究に必要な施設・設備
   研究の内容が隣接する学部・学科
   その学部・学科を設置する大学

学部・学科研究 ■part 2■ 生の姿に触れる取り組み
大学教員による「出張講義」で学問を実感させる

 調べ学習だけでなく、生徒が学部・学科の生の姿に触れられるような機会もつくりたい。その一つが、大学教員を学部系統ごとに招き、学問内容について講演してもらう「出張講義」だ。講師の選定は、志望者の多い学部を優先させながら、できるだけ多くの学問分野を網羅したい。また、心理学のように志望者は多いが、その内容を正しく理解している者が少ないと思われる学問も外せない。
 どの教員に講演を依頼するのかを決めるのは、同じ学部・学科でも、教員によって研究テーマが異なるため、案外難しい。高校生にもイメージしやすく、その学部・学科の全体像が感じ取れるようなテーマを研究している教員を選びたい。依頼は大学の広報課などを通すのが一般的である。
 当日の講演内容についての打ち合わせはしっかり行いたい。大学の教員は自分の研究テーマについて、非常に専門的な話をする傾向が強いので、高校側の意図を理解してもらうことが大切だ。
 講演の前に、講師のプロフィールや研究の概要、講演のテーマなどをまとめて生徒に配付することも重要だ。講演は講師の一方的な話になりがちなので、講演の最後に質疑応答の時間を設けるなど、生徒が主体的に参加できる場面をつくりたい。終了後は、講演の感想や気づいた点、進路選択において考えが変わった点などを書かせる。
 また、オープンキャンパスは3年生対象と考えがちだが、進路意識を向上させ、それ以降の進路学習の効果を高めるために1、2年生にも活用したい。


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