VIEW21 2001.10  新課程への助走
 週5日制に向けたカリキュラム編成の試み(2)

 生徒の学習姿勢にも好影響を与えているという声もある。「以前は年間5回の定期考査がありました。しかも、単位の認定は年度末だけですから、どうしても「今回だめなら、次回」などと軽く考えてしまう傾向がありました。ところが、現在は単位認定が中間・期末の2回の考査でなされますので、1回の考査が単位認定に直結し、その重みが違います。また、定期考査の間隔が開くので、学習範囲も広くなります。定期考査前に慌てて一夜漬けの学習をするだけでは、とても対応できません。教師にとっても、定期考査による成績不振者の発見が遅れるという懸念もあります。しかし、それを逆手にとって、『高校では一夜漬けは通用しない。普段からの積み重ねが何よりも大切なんだ』と教えます。結果的に生徒の日常学習の習慣は以前より高まっているように思います」(奥田先生)

保護者との連携を強化し、さらなる活性化を目指す

 保護者との連携についても改善がなされている。同校では「21世紀委」の提案に基づき、保護者との懇談週間を'99年度から11月中旬に設けた。
 「この時期は1年生が文理選択、2年生が科目選択、3年生は志望校選択と、生徒は重要な選択を迫られます。保護者と教師が十分に話し合う機会が必要なのです」(奥田先生)
 また、行事についても積極的に見直しを図っている。2年生の修学旅行の実施時期を弾力化したり、文化祭と体育祭を合同化して生徒全員が参加できるようにするなど、活性化のための工夫をこらしているという。
 2学期制・半期単位認定制は時間割の編成作業が年2回必要であり、成績処理業務の負担も小さくない。しかし、半期ごとの単位認定が生徒に良い緊張感を生み、メリハリがついてきたと評価も高い。大手前高校の取り組みは、工夫次第で様々な可能性を秘めていると言えそうだ。

表2

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