VIEW21 2001.10  新課程への助走
 週5日制に向けたカリキュラム編成の試み(2)

90分授業の導入と全教科でのシラバス構築

 同校は'02年度から一部の授業を90分にし、同時に2学期制を導入する。詳細は検討中であるが、午前と午後にそれぞれ1コマずつ90分授業を入れることも考えている。以前から力を入れていた小論文指導は、'02年度から前倒しで実施する予定の「総合的な学習の時間」に組み入れ、創造性や思考力を育成するための授業として位置付けている。「確かな学力を保証するためには、まず授業時数を確保しなくてはなりません。様々な選択肢を検討し、2学期制と90分授業の導入を決めました。小論文指導も、授業の中で教師全員がかかわることができると前向きに捉えています」
 さらに同校では、進路学習の一環として東京工大、早稲田大など大学の複数の講座をスタンプラリー形式で聴講させ、1単位として認定する制度を'00年度から実施している。また、進路学習と自己啓発を目的に、同じく'00年度から開始した「教養講座」も継続していく予定である。
 同校の取り組みに欠かせないものとして、教科ごとのシラバス作成がある。同校に'90年に新設された外国語科は、効果的な英語教育指導を模索して試行錯誤を繰り返してきた。この間、初年度から作成していた詳細な「授業報告書」が次年度のシラバスの基となり、年々確実に指導内容の質の向上が図られていったのである。「新課程ではすべての教科指導が手探りです。この学校の財産を活用しない手はないと思いました」
 今年度はシラバスの原案を全教科で作成し、秋には職員会議で研修を行う予定だという。「今年度、来年度と県の教育委員会からの委嘱で『県立高校学力向上総合推進事業』の実践推進校になったこともあり、教科によっては評価観点まで盛り込んだシラバスを作成するほどになっています」と久保島先生も手応えを感じているようである。
 スクール・アイデンティティーと連動させながら、着々と新しいカリキュラムの実践に向けて歩みを進める不動岡高校。久保島先生は話をこう締めくくった。「具体的なカリキュラム作成に取り掛かる前に、総合的な視点で原点としてのビジョンを練り上げたことが、現在の校内の改革への取り組みにすべてつながっています。私自身も今が変革のチャンスなのだと思っています」

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