VIEW21 2001.10  点から線の教育へ 中・高・大接続の深化形

指導上の学校間格差と中高連携の問題点

――中学での選択授業の増加による影響はあるのでしょうか。
藤森 現行課程には全国一律の到達目標がありましたが、新課程は個性重視・個別対応を大切にしていきます。内容の削減で必修科目だけでの到達目標は下がりますが、選択の幅が拡大していますから、学力を伸ばすことは十分可能です。具体的に3年では、週7時間を「総合的な学習の時間」と選択科目とでどう分けるかを検討し、仮に「総合的な学習の時間」を下限の2時間とすれば、選択授業で5教科に各1時間ずつの上乗せができます。
深田 一つの選択教科を2時間勉強しても構わないことになっていますので、英語が好きな生徒が英語を選択授業で2時間勉強したら、必修3時間と合わせて週5時間勉強できることになります。そうすると、英語の学力についてはぐんと伸びるわけです。このように、必修授業と選択授業を上手に組み合わせて、学力全体を現状よりアップさせることも可能です。しかし、全国レベルで見た場合には中学校間で取り組み結果に差が生じるのは避けられないでしょう。
深町 各中学校が選択授業をどのように扱うかは大きなポイントです。特色ある学校づくりを目指して、「我が校は数学に力を入れます」ということにすれば、選択の時間の多くを数学にすることも可能です。ただし、そうなると生徒の学力も千差万別になりますので、高校での一斉授業が難しくなりますね。生徒一人ひとりに応じた授業のためには、生徒が自ら講座を選択し、単位数を計算し、自分用のカリキュラムを申告して学ぶというシステムを高校が構築しないと対応できないと思います。

中学校における選択教科

写真 藤森喜子 写真 深町芳弘
ベネッセ教育研究所顧問・国語
藤森喜子
Fujimori Yoshiko
生徒一人ひとりが目的意識を持ち、自分の夢を語れる指導を望みます。それが実現できたら、生徒の「学び」への姿勢も変わっていくでしょう。
ベネッセ教育研究所顧問・数学
深町芳弘
Fukamachi Yoshihiro
今こそ生徒たちの「学び」を支援するという視点が必要です。新指導要領は、学校教育を改革する絶好のチャンスだと思います。

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