VIEW21 2001.10  特集 加速する大学の教育改革

【工学部に見る改革の取り組み】2

日本大工学部

FE試験合格を目標に掲げ、学生の意欲と教育レベルを向上させる


国際社会で通用する技術者育成コースを設置

 日本大工学部では'01年度新入生より、FE(ファンダメンタルズ・オブ・エンジニアリング)の資格試験合格を目指した国際工学コースを設置した。FEとはアメリカの技術者資格であるPE(プロフェッショナル・エンジニア)の1次試験に当たり、FE合格後に4年間の実務経験を積めば、PEの受験資格が得られる。PEを取得すると国際水準の技術者であることが認められる。海外で入札に参加するには、企業にこのPEやイギリスのCE(チャータード・エンジニア)などの資格を持つ技術者がいることが義務付けられていることが多い。
 国際工学コースは日本大工学部の全6学科に設けられており、2年生からFE対応の授業が始まり、カリキュラムがはっきり分かれるのは3年生からとなっている。

国際工学コースの教育教える側の力量がより問われる

 新コースのねらいを、物質化学工学科の田中裕之助教授はこう語る。
 「一番の利点は、FE・PEを通じて学生に将来像を明示できることです。試験は英語で行われますから勉強も大変です。しかし、国際的に通用する資格が得られ、国際舞台で活躍できる、そんな話を学生にすると目つきが変わります。今の学生は学習意欲がないと言いますが、目的さえ持てばそんなことはないです」
 工学部次長の倉田光春教授は「FE試験合格という到達目標が明確である分、教員の教育に対する意識も変わってくるはず」と話す。既にFE試験のための日英対訳のテキストを編集、さらに自学自習用のビデオとCD-ROMも開発した。
 「FE試験は相対評価の試験ではないので、学生全員を合格レベルにまで引き上げる教育が求められます。教える側の姿勢、力量が問われます」
 FE試験では、「技術者の倫理」や「工学経営分析」などの科目があり、理工系基礎科目の知識も重視される。国際工学コースでは、技術者に必要な幅広い知識と工学全般の基礎を修得することになる。明確な目標に向けて、日本大工学部では意欲を持った学生と教員が共に歩き始めた。



写真 倉田光春 写真 田中裕之
日本大工学部建築学科教授
工学部次長

倉田光春
Kurata Mitsuharu
日本大工学部
物質化学工学科助教授

田中裕之
Tanaka Hiroyuki

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