指導の重点は 生徒の学習意欲の掘り起こしへシフト
学校の特色を活かすことを念頭に決定した同校の新カリキュラムは、現在その実施に向けた、詰めの協議が行われている。同校の鈴木隆之先生は「中でも大きな争点になったのは、本校が10年間に渡って実施してきた『放課後講習』の見直しについてです」と語る。
「『放課後講習』は、普段の授業では実施することが難しい受験対策向けの講習を、放課後に行うというものです。初めは教師の自主開講で始まったのですが、今では本校のきめ細かな受験指導には欠かせない取り組みとして、生徒や地域からも高い評価を得ています。しかし、今回のカリキュラムの見直しに伴って、『文武両道』の観点からこれを見直すべきではないかとの意見がありました」
実績のある取り組みの見直しに、不安の声はないのだろうか? 佐藤先生はその点をこう答える。
「不安の声があるのは事実です。ただ、大きな教育改革の流れの中で、これまでと同様に指導時間を確保するのが難しくなりつつあることもまた事実です。ですから、これを機会に、指導の重点を生徒の学習意欲の掘り起こしにシフトしていかねばならないと考えています。実際、新カリキュラムの実施に向けて、学習目標の明確化と家庭学習の充実により学習効果を高めるために、総合学習の活用、シラバスの作成、週末課題や基礎学力テストの実施などの取り組みを検討中です。これらが成果を上げたとき、初めて今回のカリキュラムが成功したと言えるでしょう」
佐藤先生は説明の中で「これから数年間も移行期です」と何度か繰り返した。教育改革の理念と現実の課題との狭間で、自校の進むべき道を模索する多くの高校についてもその言葉は当てはまると言えるだろう。
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