【取り組みスタートまでの経緯】
大学の正規の講義を高校生に公開講座として開放
埼玉大と浦和高校との間で、「高校生が大学の正規の講義を受け、それを高校が単位として認める制度」がスタートしたのは'00年4月。実はこれ以前に国公立大がこの制度を実施した例はなく、全国でも初の取り組みとなった。
最初に浦和高校から、(1)生徒のほとんどが4年制大への進学を目指しており、その進路研究の一環として大学の講義を聴講させたい。(2)その際、高校向けの特別講義ではなく、大学生と一緒に正規の講義の受講を希望する。(3)大学の単位認定は必要なく、高校側で認定する、といった意向が示された。
そこで、まず大学側が検討したのは受講のスタイルだった。本学生以外が大学の正規の講義を受講する場合、通常はある特定の科目だけを受講する「科目等履修生制度」を利用することになる。だが科目等履修生になるためには試験を受けなければならず、また検定料、入学料、授業料を合わせて5万1300円('01年度国公立大の場合)もの費用がかかり、高校生にとっては極めてハードルが高い。そこで埼玉大では浦和高校の要望を取り入れながら、特例として大学生にとっては正規の講義を、高校生には公開講座として開講することにした。これであれば受講料は8500円(半期)で済むことになる(ちなみに埼玉大では文部科学省と協議し、'01年度からはさらに受講料を半期4400円にまで減額した)。
もう一つの検討課題は、公開講座を実施する時間帯と内容だった。浦和高校は'00年度から単位制に移行したものの、受講対象学年となる2、3年次のカリキュラムは旧来のものであった。生徒たちは高校での授業を終えてから、その足で埼玉大へと向かうことになる。そのため受講できる講座は、第9・10時限(16時~17時30分)と、経済学部が開設している18時以降の夜間主コースのものに限られた。埼玉大の各学部ではこの時間帯から、受講者が高校生であることを考慮して、基礎的な専門授業科目を選び出した。こうして'00年度は前期17科目、後期10科目、通年2科目が高校生に開放され、延べ77人の生徒が受講した。
大学生に混じって高校生が講義を受ける(写真提供/大阪大)
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