VIEW21 2001.12  特集 高校生の学力と学習行動成立の要件

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広がる上位層と下位層の学力格差

 学力層別に見ると、最上位となるA層の正解率は、ほとんどの科目において'95年度と変化しておらず、下がってはいなかった。しかし、上位20%のA層以外の学力層(B層~E層)では、下位に行くほど正解率の下げ幅が大きく、'95年度より学力格差が拡大していた。また、物理・化学は上位層を含む全学力層で下がっており、世界史と日本史は上位層の下げ幅が大きいのは、特徴的な傾向として注目される。

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学習指導要領との関連

 国語・数学・英語で学習指導要領との関連を見ると、表現領域と並んで言語・音声領域の指導が重視されている英語は、語順整序・読解(特に速読)問題でその効果が見られた。また、文法や語彙の領域がその反動として下がる傾向は見られず、全体として正解率は上昇する結果となった(図4)。
 しかし、国語は評論・小説の内容読解問題で正解率の大きな低下傾向が見られた(図5)。このことは国語という教科にとどまらず、地理・歴史・数学・理科の各科目の読解問題にも影響を及ぼしていったと考えられる。
 その一方、数学を見ると'95年度の3年生にとっても現在の3年生にとっても必修である数学Iの範囲(2次関数とグラフ、三角比と図形)は上位層そして中位層において正解率がやや上がった。ところが、前回の学習指導要領では必修で、現行の指導要領では必修でない数学II・Aなどに移行した領域(数と式、2次関数と方程式・不等式、図形と方程式)の設問については、正解率が大きく下がるという分析結果になった(図6)。

図

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