VIEW21 2001.12  特集 高校生の学力と学習行動成立の要件

学習の価値 大学進学を選択する高校生にとって、志望する学部系統が決まることは高校での学習と大学でのそれを連結させ「何のために学ぶのか」という学びの意味や価値がつかめるということである。志望大学が決まるということは「いまの自分」の到達レベルと「なりたい自分」を実現するために必要な学力レベルの格差―努力目標をどう達成するかが確認できるということである。
 進学目標を具体化することは学習動機とその持続のための要件となる。図8はこのような分析視角のもとで3年間の変化を確認するために計測した結果である。
 進学目標具体化率をSCS尺度(Self-Concept Scale 自己概念の肯定率尺度)別データで見ると、自己肯定度の高い生徒ほど高く、L3~L5では2年7月にかけての伸びが大きく、流動的だとは言え目標を具体化させている。この反面、L1~L2の生徒の多くは2年7月以降に持ちこすケースが多く、3年7月になっても目標を設定できない者もいる。
 次に、学力レベル別データを見ると1年4月にAレベルの生徒が41%でやや高いもののBレベル以下はいずれも30%強にとどまっており、圧倒的多数は漠然と進学を考えているにすぎない。ここに低学年指導が重視される根拠があり、2年7月に向けて伸びが顕著なのはCレベル以上で、D・Eの生徒の多くは2年7月になっても目標を選択できにくい状況に置かれているようだ。

図

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