VIEW21 2002.2  クラス運営・進路学習のためのVIEW'S method
 新入生対象の学習指導

■part 2■ 中学校の学習内容のチェック
中学校の教科書を職員室に用意する

 中学校の学習内容を把握しておけば、それを踏まえた教科指導を行うことができる。そのためには中学校の教科書に目を通しておくことが欠かせない。高校の教師が「当然学んでいるだろう」と思っている内容が削除されていたり、簡単に扱われていることが少なくない。それが事前に分かれば高校での授業内容、教え方も変わってくる。多くの新入生は高校の授業進度に戸惑い、不安になっている。そこで授業中に「ここは中学校で習っているはずだよ」とコメントすれば生徒は安心すると同時に、教師に対してさらに信頼を寄せるだろう。
 できれば中学校から各教科の教科書を取り寄せて職員室に用意しておく。中学校の教科書が手に入らない場合は、新入生から入手する方法もある。
 近隣の中学校の教師に学習内容について、例えば英語なら文法に関する指導はどの程度行ったのかといったアンケートを取るのも一つの方法だ。具体的な指導状況が把握できれば、対応策が一層立てやすくなる。
 新入生の学習面での特徴を事前につかんでおくには、その年の高校入試問題について、問題のレベルと解答状況から学力分析を行うとよいだろう。実際に新入生一人ひとりの答案の分析はできないが、採点作業の際にある程度、解答の傾向などについて教師間で情報交換をしておいた方がよいだろう。
 また、入学前に新入生に「学習アンケート」を実施し、学習に対する興味・関心の度合い、各教科の好き嫌い(嫌いな場合はその理由)までつかんでおけばさらに万全になる。

■part 3■ 生徒を迎える最初の授業
強いインパクトで生徒の気持ちを引き付ける

 すべての新入生は高校生活に対する様々な期待を持っている。中でも最たるものは、新しい環境に飛び込むことで、自分自身が成長し、変われるのではないかという期待である。しかし、高校側が生徒の変わりたいという気持ちに応えられなければ、「何だ、高校は中学校と変わらないじゃないか」と生徒を失望させてしまう。
 「高校は違う」と生徒に印象付けられるかどうかは、最初の授業の印象にかかっていると言っても過言ではない。まず求められるのは強烈な求心力とインパクトだろう。例えば、難問を取り上げれば生徒は「さすが高校の授業はレベルが高い」と気を引き締め、中学校の学習内容で定着率の低いと思われる分野を丁寧に解説してやれば「こんなに分かりやすく教えてもらえるのか」と高校への信頼を深めるはずだ。最初に「すごいなあ」「こんな経験は初めてだ」と生徒が思わずうなるような授業、中学校との違いを実感できる授業を経験させたい。
 生徒に高校の学習の実用性やアカデミックさを実感させることも大切だ。教科の内容が社会生活のどんなところに活かされていくのか、教科書にとらわれずに教師自身の言葉でその教科の魅力や価値を語り、生徒を引き付けたい。また、最初の授業では、予習・復習のバランスなど、その教科で求められる学習スタイルを明確に説明し、学習方法のアドバイスを行うことも必要だろう。
 最初の授業には様々なねらいがある。その成否がその後の3年間の指導を決定する、くらいの覚悟で準備をしたい。


<前ページへ  次ページへ>

このウェブページに掲載のイラスト・写真・音声・その他のコンテンツは無断転載を禁じます。

© Benesse Holdings, Inc. 2014 All rights reserved.