VIEW21 2002.2  クラス運営・進路学習のためのVIEW'S method
 新入生対象の学習指導

■part 4■ 日々の授業のポイント
予習・復習なしでは授業が分からないことを理解させる

 1学期当初は「中学校から高校への学習サイクルの転換」が最大の課題だ。高校の授業は中学校と比べると、(1)進度が速い(2)内容が難しい(3)テストが多い、などの違いがある。生徒がこれらを乗り越えていくためには家庭学習習慣の定着が大前提になる。高校では予習・復習をしないと授業についていけないことを理解させ、主体的に勉強することの重要性を伝えることが必要だ。
 中学校時代、毎日予習・復習をしなくても定期考査で良い成績が取れた生徒は、高校でも同じように授業を聞くだけで成績が伸びると考えていることが多い。そこで、まず家庭学習で事前に自分の頭を使って考え、授業では疑問点などをクリアにし、そしてさらに家庭学習で理解を定着させるというサイクルが基本であることを生徒に伝えたい。
 とはいえ、生徒の中には予習・復習をどのように行えばよいか分からない者もいる。そうした生徒には、具体的な勉強法を提示し「この方法で1週間やってごらん」と導いていきたい。必要に応じて、各教科担当のアドバイスを得ながら、教科・科目ごとの具体的な勉強法を理解させることも必要になってくる。
 予習・復習を徹底させるために、生徒の学習状況をチェックできるような工夫も授業には必要となってくる。予習・復習をしてこなければ授業に臨めないような問答形式を取り入れるなどして家庭学習と連動した授業を考えたい。
 ノートの取り方も新入生にとっては大切なポイントの一つである。具体的なサンプルを見せながら教えるようにしたい。生徒が板書を写しているときに、教師の話に集中させるのはなかなか難しいものである。最初は「まとめなさい」「話を聞きなさい」と一つひとつ指示して、「聞く・考える・まとめる」の作業を分けて行わせるように配慮するとよいだろう。プリントの配付によってノートを取る作業を軽減させるなど、生徒自身が考える時間を増やす工夫も必要である。
 また、ファイリングの仕方も是非教えたい。資料などの管理ができない生徒は学習時間のロスが非常に大きい。なぜファイリングが必要なのか、きちんと説明して、各教科ごとに資料用、テスト用などファイリングする習慣を1年生のときから身に付けさせる。

1学期当初は褒めることを心掛ける

 授業での個々の生徒への接し方については、特に入学当初の段階では「褒める」ことを意識したい。些細なことでも授業中に生徒を褒め、高校での学習に対して自信を付けさせることがポイントである。
 1学期、生徒たちは高校の授業の進度の速さ、学習内容のレベルの高さに不安や戸惑いを抱えている。そんな状況だからこそ、生徒一人ひとりと向き合ったときは褒め、励まし、元気付けることを心掛けたい。
 高校ならではの緊張感のある授業を行いながらも、個々の生徒には手厚くケアをする。つまり、「全体に厳しく、個別に優しく」というスタンスが1学期当初の指導では特に重要になる。
 また、授業を円滑に運営するポイントの一つは、各クラスのキーパーソンを見つけることである。この生徒に発言させればクラスの全員が集中して聞く、というような影響力のある生徒を見つけておくことも有効である。


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