VIEW21 2002.2  指導変革の軌跡 埼玉県立越谷北高校

研修会の内容として
富士中学に依頼したのは、中学生の学習生活の実態と、新課程への対応状況、そして中学校から高校へ望むことの3点だった。そして迎えた研修会当日、越谷北高校の教師は予想以上の衝撃を受けた。
 「教師としてよりも、子供を持つ親として、中学校の現状に驚きましたね」と語るのは同校の「教育課程委員会」のメンバーである上原一孝先生。上原先生は新教育課程への対応を検討する過程で、中学校の変化を文字による情報としては知っていた。しかし――
 「例えば、英語の授業内容については、歌やゲームといったオーラルコミュニケーション中心で、我々が慣れ親しんできたような文法読解中心の授業ではありませんでした。また、選択授業の中身を見ても、動機付け的な要素を取り入れたものが多く、授業は教科書中心に進めるものだと考えていただけに、本当に驚きました」(上原先生)
 実際、富士中学校の'01年度3学年の選択教科一覧を見ると、国語は「漢字検定に備えての演習」、数学では「みんなで教科書をつくって授業をしてみよう」、社会では「株式についての学習、課題学習」などのタイトルが並んでいた。「同じ選択科目でも、中学校と高校で捉え方にこれほど大きな違いがあるとは思っていませんでした」(上原先生)
 一方、中学校間の学習内容の違いにも、教師は衝撃を受けた。今までであれば、どこの公立中学で学んでも同じ教育を受けて高校へ進学して来るのが原則だったのに、'03年度以降に入学してくる生徒については、各中学校の裁量で行われる「選択教科」、「総合的な学習の時間」が増大するため、中学校間で授業の内容に大きな差が出てくるからだ。
 「予想以上に効果がありましたね。多くの先生方がなんらかの形でショックを受けていたようです。講演が終わってからの質疑応答の時間でも、活発に意見が交わされました」
 研修会終了後、清水先生は「先生方の生徒指導に対する問題意識が拡大した」という確かな手応えを感じていた。

まだある参考にしたい取り組み
越谷北高校ホームページ
越谷北高校のホームページは校内の行事やニュースはもちろん、普通科、理数科それぞれのカリキュラムに至るまで、同校の情報を広く外部に向けて発信している。中でもユニークな取り組みと言えるのが、掲示板(BBS)のコーナー。在校生だけでなく卒業生のコーナー(サイトの運営も卒業生がボランティアで行っている)も充実している。掲示板に書き込まれた同校の受験を希望している中学生からの悩み相談に、同校の在校生が答えるなど、双方向的な情報の発信・収集の場となっていることは特筆に値する。

図
http://www.koshigayakita-h.spec.ed.jp/


<前ページへ  次ページへ>

このウェブページに掲載のイラスト・写真・音声・その他のコンテンツは無断転載を禁じます。

© Benesse Holdings, Inc. 2014 All rights reserved.