VIEW21 2002.2  特集 「教育新世紀」に向けた学校改革

授業と授業外の時間を連動させる仕掛け(数学)

石川 近頃の生徒の問題点として、長時間の思考経験がないということが挙げられますが、通常の授業の中ではなかなかそういう機会をつくりにくいのが現状です。そこで本校では、「1週間後までに考えてきなさい」といった課題の出し方をしたり、通常の授業以外に数学オリンピックのようなイベントを行ったりして、長時間頭を使う経験を、授業以外の時間で確保するよう工夫しています。
 また、今後の教科指導のカギになるのは、学習の動機付けとして、「発見」の要素を盛り込むことだと考えています。数学は授業の中で、新しい理論を発見したりすることは難しい教科ですから、場合によっては、その理論の一番面白いところを生徒自らが発見できるような仕掛けを用意して、「発見する喜び」「学ぶ喜び」を生徒に伝えられたら、学習意欲を刺激できるのではないかと思います。
 一方、計算力などの基礎力の育成に関しては、生徒の実態を踏まえて、従来の指導法を再考しなければならないと思います。基礎的な練習問題は、今までなら自宅学習で済んでいましたけれど、これからは、教師が一緒にその場に立ち会っていく時間も必要だと思います。今の生徒はちょっとしたつまずきでもすぐ転んでしまいますから、教師がタイミングよく適切にアドバイスをすることは、学習意欲を持続させる上で非常に大切なことだと思います。計算技量や数学的思考を身に付けさせるには、こうしたレベルから始めなければ、難しいと思います。
 また、私は生徒に数学を通じて論理的思考力を養ってほしいわけですが、その力を養うのは、何も数学の授業時間だけではないはずです。例えば、剣道で竹刀の握り方を教えるときに雑巾を絞らせるように、教科指導以外の手段で、数学における論理的思考力を養えないかと考えています。まだまだ試案の域を出ませんが(笑)。

布村 生徒の論理的思考力を数学の授業以外の場面で養えないか、という視点は、「総合的な学習の時間」を活用すれば、実現するのではないかと思います。「総合的な学習の時間」は学ぶ意欲を実践につなげたり、実生活との結び付きや、知の総合化の視点を重視しながら、幅広い理解力・読解力・表現力を養うための時間ですから、是非各校が創意工夫を凝らして取り組んでいただきたいですね。

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