VIEW21 2002.2  特集 「教育新世紀」に向けた学校改革

高田 「スーパーサイエンスハイスクール」は、学校全体として指定を受けるものなのでしょうか? また、理数科との関係についてはどのように考えればよいのでしょうか?

布村 詳細については現在検討中であり、まだ完全には詰めていないのですが、学校全体としての取り組みだけではなく、理数科のように、学科全体としての取り組みも可能ではないかと思います。また、理数科との関係に関しては、現在の理数科の取り組みをベースにしなければならないというものではありません。普通科の中の一部のコースでの取り組みなども考えられます。

 この取り組みは、現在進めている学校の特色づくりという視点から出てきたものだと思いますが、今後はさらに、他の特色を打ち出した高校の構想へと広がっていく可能性はあるのでしょうか?

布村 「スーパーサイエンスハイスクール」は元々、理数系に興味・関心の高い生徒をより一層伸ばしていくという発想から始まったものです。今後、他の分野でどこまでそれを広げていけるかは、慎重に見極めていかなければならないと考えています。この取り組みを行うに当たっては、研究成果そのものはもちろん、その学校に生徒を通わせている保護者の方々や、先生方の声もしっかりと把握しながら、議論を深めていきたいと考えています。
 今回、教育課程に関する審議会を常設化しました。今後は現場の先生方の意見を吸収したり、「こうした点の指導方法を各学校で工夫していただきたい」というようなメッセージを発信したりと、継続的に教育内容や指導方法に関する議論を展開していけるような環境づくりが大切だと考えています。10年に1度、大きな論議を提起する形ではなく、常にカリキュラムに関する議論を積み上げていけるようシステム化し、その状況を教員はじめ、国民の方々に理解いただけるよう、情報の発信・吸収に努めていきたいと考えています。

 ありがとうございました。

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 座談会を通して、今後各高校が取り組むべき様々な課題が明らかになってきた。では、学校改革に向けて、高校現場では実際にどのような取り組みが行われているのであろうか。次頁から、「総合的な学習の時間」を軸にした学校改革を進めている、鹿児島県立甲南高校の事例を紹介する。


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