VIEW21 2002.4  国際人を育てる THINK GLOBAL

草の根レベルの国際化

 「国際人」「国際化」というとどうしても日本の外に目がいってしまう傾向があると思います。でも、実は国内でも国際化が急速に進んでいます。東京の都立高校の中にも、イランや中国など、外国から来た生徒がたくさん学んでいる学校があります。その中には日本語がうまく話せない生徒も少なくありません。そういった生徒とどうかかわっていくのか。草の根レベルでの国際化にどう対応するのかが求められていると思います。
 先日、近所で同じ職場の同僚らしい外国人と日本人が親しげに話し込んでいるのを目にしました。言葉の問題はあるようでしたが、きちんとコミュニケーションはできているんですね。草の根レベルの国際化というのは、こういう小さなコミュニケーションから始まるんだなと思いました。
飯田 確かに草の根レベルでの国際化は着実に進んでいると思います。ただ、同時に深刻な課題にもなっていますね。大学でも留学生は増えてきていますが、どうしても留学生同士で固まって孤立する傾向にあるようです。日本の学生が積極的に受け入れようとしないんですね。そこで私はゼミに留学生を呼んで、学生同士が本音で語らえる場を設けるようにしています。この間は、留学生が「日本の大学がこんなにひどいと思わなかった。なぜみんな勉強しないで遊んでばかりいるんだ」と本音をぶつけていました。それに日本人の学生が反応して、どんどん議論が深まっていったのです。違う文化を持つ人々を受け入れ、その上で自分の考えていることをきちんと伝える。時には、論争になるかもしれないけれど、言いたいことをきちんと言い合える関係をつくるのは非常に大切だと思います。
福本 私は、高校の教師をしていた頃、生徒によく「人間として成長することによって初めて大学に合格できるんだよ」と教えていました。自分のことをしっかり見つめられる、日本人に対しても他民族の人に対しても同じように接することができる、自分が考えていることをきちんと伝えることができる、また相手の考えも理解できる、といった「人間としての在り方」を問われているのかも知れませんね。

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