VIEW21 2002.4  特集 必要とされる「総合人間力の育成」の視点

三つの「学び」の相互作用による「学び」への誘い

 このような生徒・学生の意識変化を見ると、「学びに向かう力としての学力」、つまり学力形成の「器」づくりを抜きにして学力の向上は期待できにくいケースが増えてきているように思われる。従来型の学力向上プログラムに一定の限界を感じ、学力育成指導の在り方を見直す流れは90年代中頃から顕在化してきた。これは「学び」を目的としない生徒や学生が増えてきたことと対応している。「総合的な学習の時間」を学びに向かう「器」づくりとして活用し、「自己を知る(自分の世界を広げる)」ための学習活動を展開し、課題研究を通して「学びの方法」を学ぶことによって、教科学習の持つ価値や意義を確かめさせる教育計画を構想しているケースが多い。
 その前提となるのが―

1. これまでに積み上げられてきた進路指導・小論文指導・体験学習・課題研究などにかかわるノウハウの検証
2. 生徒の発達段階やニーズの掌握
3. 知識の伝達と取得を軸とする授業の改善、などである。

 このような動きは「特色づくり」の一環として推進され、「学びの内容を学ぶ」ための動機付けとして「課題解決型」学習を位置付けている。その一方で、「目標追求型」の学習を通して獲得した知識を使うことによって、思考力や表現力の育成にも役立てたいとのねらいを持っており、三つの「学び」の相互作用によって「学び」に誘うプログラムが、総合的カリキュラムの編成なのである。(資料4参照)

図

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