VIEW21 2002.4  特集 必要とされる「総合人間力の育成」の視点

2 Analysis
新課程に関する全国調査結果分析レポート

 2003年度新課程に向けた各校の課題検討は最終段階を迎えている。全国の高校における検討進捗状況を最新のアンケート調査結果に基づいて分析する。各校の状況は1年前の同調査結果(本誌01年度4月号掲載)と比べてどのように変化しているのであろうか。

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03年度カリキュラム編成の検討状況について

原案は作成済み
しかし、再検討と修正の必要を感じている高校が多い

 1年前の全国アンケート調査(01年1月実施)では、全体の91.5%の高校が「02年3月末までに03年度カリキュラムを確定する」と回答し、「02年4月以降に作成する」と回答した高校はわずかに4.0%にとどまっていた。しかし、今回の調査結果では「02年度4月以降に03年度カリキュラムを検討する」と回答した高校が増加し、全体に占める割合も28.8%になっている(資料1-1)。その背景には一体どのような要因があるのだろうか。
 ベネッセ文教総研ではその理由を明らかにすべく、回答校に対する追加ヒアリングを行った。その結果、「4月以降に検討」と回答した高校の大部分が、実際には既にカリキュラム原案を作成済みであり、「検討中」の実態は「作成していない」のではなく、「確定できていない(検討を継続する)」という状況が明らかになった。
 また、アンケートで、「02年1月末現在確定済み」及び「02年3月末までに確定予定」と回答した高校の中にも、実は「作成済み原案を02年度1学期に再度検討し、必要に応じて見直す」という高校がかなり含まれていることが判明した。本来ならば、早期にカリキュラムを確定させ、「総合的な学習の時間」(以下、「総合学習」)や教科「情報」の具体的な内容検討に取り組まなければならないはずの各校が、カリキュラム検討に時間を要している理由は何なのであろうか。
 資料1-2は、03年度カリキュラムの編成に当たって、各校で検討された課題を示したものだが、これを見ると、各校とも頭を悩ませているのが、国立大のセンター試験5教科7科目実施であることが分かる。
 各校が積み上げてきた新課程対応案を根元から揺さぶったのが、00年11月の国立大学協会の発信だったのである。実際、アンケートのフリーアンサーには「各大学が、実際に5教科7科目をどのような構成(標準型か、変則型か。変則型の場合はその内容)で実施するのかを速やかに発表しないことが、高校現場における検討を一層混乱させている」といった、高校側に対する大学側の配慮不足を指摘する声も少なくなかった。

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