2 「総合学習」の検討状況について
低学年では「進路学習」が中心だが 3年生になると「小論文指導」と「教科学習(読み替え)」 が増加する
03年度新課程の目玉となる「総合学習」の具体的内容の検討は進んでいるのであろうか。実施まで実質1年という時期だけに、「具体的検討は進んでいない」とする高校は4.4%とほとんどない(資料2-1)。しかし、実施内容を「02年4月以降に検討する」高校も全体の4割近くに及び、「総合学習」の位置付けに悩んでいる高校が少なくないことがうかがえる。
現在、各校が予定している「総合学習」の実施内容を見てみると、「進路学習」「テーマ学習」に「小論文指導」を加えた3本柱を中心としたものになっており、「教科学習(読み替え)」を予定している高校は全体で1割程度にとどまっている(資料2-2)。
学年別に見ていくと、1年次では半数以上の高校が実施を予定している「進路学習」も2年、3年となるに従って選択率は下がっていく。「テーマ学習」も3年次では大幅に下がる。逆に、「小論文指導」は1年から2年、そして3年になるに従い選択率が上昇していく。本誌は01年度2月号(02年2月12日発刊)巻頭特集「教育新世紀に向けた学校改革」の記事の中で、鹿児島県立甲南高校の事例を紹介している。同校では学校としての目標である「地球規模でものを考えるリーダーの育成」の実現に向けて、「小論文指導」を核にした「総合学習」を1年次から実施し、生徒の基礎学力をじっくりと育成している。
また、「教科学習(読み替え)」を選択する高校も、2年次から3年次になると4.6ポイント増加する。この項目で興味深いのは、公立校と私立校による違いである。私立校の場合、「総合学習」で教科学習を行うとしている高校は3学年とも15~18%で一定している。つまり、学校として「総合学習」の位置付けに対する判断が一貫していると言える。ところが公立校の場合、「教科学習(読み替え)」は1、2年ではどちらも6.1%と、実施はほとんど予定されていない。しかし3年になると、13.6%と、選択する高校は倍増する。
「総合学習」に関しては、各校ごとに様々な実施のねらいがあり、一律にその取り組み内容や成果を評価できるものではない。しかし、大学入試への直接的な効果を期待しすぎてしまうと、03年度以降「総合学習」の成果に関する校内認識に不整合が生じることが懸念される。02年度内に、自校における「総合学習」のねらい、位置付けを明確にし、教師間で共有しておく必要があると思われる。
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