VIEW21 2002.4  特集 必要とされる「総合人間力の育成」の視点

生徒を巻き込んで改革の方向性を一緒になって考える

 清水先生はこの改革を成功させるカギは「制度ではなく、生徒と教師の意識が変わること」だと言う。同校は校内の応接室や会議室などのスペースを、教師同士の自由な語らいの場として積極的に提供している。自由な雰囲気の中で若手教師が数名ごとに集まっては、学校の将来像について熱く語り合う姿が日常的に見られる。また、教師間の意識統一を図るだけではない。50分授業への変更や、その場合の昼休みの時間帯をどうするかなど、普通なら学校側だけで決定してしまうような項目も、生徒の代表を交えて議論した。
 「生徒を引っ張るのではなく、生徒が自ら成長しようとするのをサポートするのが教師の役割です。学校の主役である生徒たちに、自分たちがより成長できるための改革なのだということを感じてほしいのです。本校の生徒ならそれが理解できると信じています。浜北高ならではの良さを継承しつつ、新たな時代に対応していくにはどうすればよいのか。今後も時間はかかるでしょうが、生徒と教師が一緒になって考えていきたいと思います」
 大胆な改革に取り組みながらも、大切なのは生徒の「学び」に対する想いなのだと断言する浜松北高校の事例は、同じく大きな変革の道を歩もうとする他の高校にとっても、参考にすべき点が多いように思われる。

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