VIEW21 2002.4  特集 必要とされる「総合人間力の育成」の視点

従来の枠組み・取り組みを活かしつつ
生徒に向き合う時間を確保する
(島根県立出雲高校の場合)

 島根県立出雲高校では2003年度以降も、現在の1日50分×6コマという授業時間の枠組みを継続することを決定している。同校の高橋泰幸進路指導部長に、その背景と検討の経緯についてうかがった。

 「各校の03年度カリキュラムの編成担当が頭を悩ませるのは、週5日制や『情報』『総合的な学習の時間』(以下、『総合学習』)の新設の中で、いかに授業時間数を確保するのかということでしょう。もちろん本校でも、その点に関する議論はずいぶんやりました。しかし、どれだけ検討を重ねたとしても、現行課程よりも授業時間数が削減されることに対する不安感はなくなりません。それに新課程は待ってはくれません。残された時間の中で、授業時間数の確保を目的に、運用の難しい特殊なカリキュラムや不慣れな授業時間への変更に関して検討するよりも、他に学校として議論すべき本質的な課題があると考えたのです。そこで本校では授業時間については、従来の指導スキルを活かせる50分×6コマという枠組みを崩さないことを早期に確定しました。各教科の時間配分についても、教科ごとの大枠を教務部主導で確定し、科目ごとの細かな調整は各教科内で進めています。その上で、どうしても時間が足りなくなった場合は、補習を活用するなどして柔軟に対応するつもりです」
 同校が教務レベルでのカリキュラム原案を確定したのは00年度と、他校に比べてもかなり早い時期であった。早期に原案を確定したことで、以後2年間にわたって、03年度新課程の実施に向けた具体的な議論を熟成させることができたのである。

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