私立高校の取り組み 「ゆとりの教育」の実現のためには 週6日制が必要と判断 (大阪府・清風高校の場合)
週5日制や「総合的な学習の時間」(以下、「総合学習」)の位置付けなどには公立校と私立校で大きな違いがある。特に週5日制については、私立校では03年度以降も週6日制の学校が多数を占めている。そのため、週5日制への対応に関しては公立校の負担だけが大きいという声も聞かれる。これらの点に関して私立校に話をうかがった。
「公立と私立はそれぞれの役割があり、同時にいろいろな面で条件が違います。例えば授業料で言えば、大阪府の場合、公私で4.7倍もの格差があるのです。週5日制か6日制かの違いだけを取り上げて比較されるのは不本意です」と語るのは大阪府・清風高校の平岡宏一副校長。
「週6日制を継続してもよいのならば、とりあえず継続しますといった安易な考えの私立校は少ないと思います。教育環境も大きく変化する中、週5日制と週6日制、どちらが本当に生徒と保護者の期待に応えることができるのか。選択ができるだけに、本校でも真剣に取り組み方を模索しました。その結果が週6日制の継続という判断でした」
その検討の経緯を林信幸進路指導部長が説明する。
「本校では生徒の全人教育の実践を目指して、以前から年間25回以上もの学校行事を実施してきました。『総合学習』の実施を待つまでもなく、進路意識の醸成や体験的学習などによる『生きる力』の育成には先進的に取り組んできたという自負があります。しかし、週5日制を実施した場合、これらの取り組みの時間は削られ、学校生活の大部分が教科学習という歪んだカリキュラムになりかねません。週6日制から受験対策偏重を連想される方もいますが、本校では、本当の『ゆとりの教育』実践のためにこそ、週6日制によるサポートが必要なのだと考えています」
平岡副校長はすべての学校が一律に週5日制を実施することには危惧を持っていると言う。
「週5日制のねらいはよく分かりますが、今すぐ週5日制を一律に実施することで、土曜日分の授業を金曜日までに詰め込んだり、毎土曜日に補習形式での授業を行うようになっては本末転倒です。教育改革の方向性はすべての学校で共有すべきでしょうが、具体的な取り組み方法に関しては各校の判断に委ねる必要もあるのではないでしょうか」
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