福岡市立宮竹中学校のケース
地域との交流体験活動を通して、 自主性と自己表現能力を育てる
生徒の自主性とやる気をどう高めるか
「こんにちは」―宮竹中学校に入ると生徒たちの明るく元気な挨拶がこだまする。同校では昨年10月、「総合学習」の成果を「研究発表会」という形で一般に公開した。この研究発表会は、同校が昨年から実施した「総合学習」の時間である「宮スタ☆タイム」の成果の結実だった。
「言われなければやらないという態度を、自分から積極的に取り組むように変えるために、教師がどのような支援ができるかが課題でした。また、静かなのが良い授業という教師の意識を改革し、生徒が自主的に参加できる授業を行うのも課題の一つでした。そのため評価の規準を工夫し、指導方法の改善にも取り組むことになったのです」(撫尾(うつお)桂子校長)
体験先へのアポイント取りにも必要な コミュニケーション能力
昨年度前期の「宮スタ☆タイム」で取り上げられたテーマは「わが町、福岡を知ろう」だった。福岡に関係する項目から自分の興味のある事柄を取り上げ、それをテーマに研究を行うものだ。「博多織」「山笠」「博多ラーメン」など、そのテーマは生徒の興味によって自在に広がる。後期の課題は「福祉ボランティアについて学び、自分のこれからの生き方に役立てよう」。地域のボランティア団体や福祉施設で体験学習を行い、自分は何ができるかを学ぶ。
「取材のアポイントの電話からインタビュー、調査まですべて自主的に行わなければなりません。アポイントを取る際には、自分の課題や要求を初めて話す相手に明確に伝える必要があります。これがコミュニケーション能力というわけです。研究内容だけではなく、研究のための行動自体が学習の一環に組み込まれているのです。教科との連携も図られていて、研究対象によって、理科や歴史、地理などの教科が密接に関係してきます。また、アポイントの取り方や取材時の言葉遣い、お礼状の書き方などは道徳や国語と関連してきます」(池田一司教頭)
取材先は、教師があらかじめ地元の企業や研究団体などに協力を依頼している。しかし、生徒自らが新たに「○○を取材したい」と言ってくることもある。昨年秋にイントラネットが稼働してからは、生徒の関心がより外に向かうようになったという。
「生徒は、各教室に設置されているノートパソコンを駆使してインターネットで調べ、意外な取材先を見付けてくるのですね。教師は、生徒たちの希望をできるだけかなえる努力をしています。それに、取材先の話や研究の進め方、インターネットでの資料の調べ方、コンピュータ上でどのように資料を作るかなど、生徒と教師の間で今まで以上に多くの会話が交わされるようになりました。また、当校では、校内LANにつながったパソコン上で校長からのメッセージも見ることもできます。私から見る限り、コンピュータは新たな話題を見付けるということに役立っています。これは生徒と教師の間だけではなく、教師間でも言えることです」(池田教頭)
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福岡市立宮竹中学校校長
撫尾桂子
Utsuo Keiko
教職歴26年目。同校に赴任して1年目。「学校での生活を楽しみ、将来の夢や希望を見付けて、その実現に必要な知識や技術を身に付けてほしいですね」
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福岡市立宮竹中学校教頭
池田一司
Ikeda Kazusi
教職歴21年目。同校に赴任して2年目。「自主性と積極性を身に付けて、自分の考えと判断で物事に取り組める人間になってほしいと思います」
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福岡市立宮竹中学校
阿久根健一郎
Akune kenichiro
教職歴14年目。同校に赴任して2年目。2学年主任。社会科担当。「生徒には学んだことを人生につなげられる人間になってほしいですね」
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