VIEW21 2002.6  特集 魅力ある学校づくりにどう取り組むか?

中高一貫校の事例1

静岡県立浜松西高校・中等部

「西高改革」の延長線上に中高一貫教育を位置付ける

 静岡県でも有数の伝統校である浜松西高校は2002年4月より併設型の中高一貫校として新たなスタート地点に立った。同校の中高一貫制はどのような課題認識を背景とし、どのような工夫の上に構築されているのだろうか。

 92年に65分授業導入、96年にシラバス作成開始、97年からは二学期制実施と、『西高改革』と銘打った独自の学校改革にいち早く着手してきた浜松西高校。中等部の永田友美先生は、同校における中高一貫制の導入は、この改革の延長線上に位置付けられていると言う。
 「本校が中高一貫制導入に向けて動き出したのは、99年に県の研究協力校に指定されたことがきっかけです。しかし、校内にはこれを積極的に受け入れる素地がありました。と言うのも、静岡県では従来より中高の人事交流が盛んに行われており、本校にも私を含めて数人、中高両方で教えた経験を持つ教師がいたのです。中高接続の重要性は校内で認識されていましたから、県からの打診があったときも、中高一貫制を『西高改革』の延長線上に捉え、そのメリットを生かした本校ならではの教育を行うことが可能だと考えたのです」
 研究協力校の指定を受けた同校は、校長自らが主催する形で校内研究委員会を設置。02年度の開校に向けて、近隣の中学校や地域の有識者らも巻き込んだ研究活動をスタートさせた。その結果、
 「産業集積地である浜松市の地域特性を踏まえ、従来より理系教科の指導に力を入れてきた浜松西高校の特色を、6年間の教育でさらに発展させられるようなカリキュラムを目指そうということになったのです」(永田先生)
 そこで、9クラス編成であった高校の普通科のクラス数を、5クラスに削減すると共に、昨年まで1クラス設置していた理数科の募集を02年度以降は停止することにした。一方、新たに設置される中等部のクラス数は4クラスとした。
 「6年間で理系教科の力を重点的に養成していくことができるので、理数科という枠組みをなくしたということです」(永田先生)
 では、このような教育内容を実現するために、同校ではどのような検討・工夫が行われたのだろうか。以下の3つのポイントを切り口に同校の取り組みを整理してみよう。


静岡県立浜松西高校・中等部
1924年(大正13年)創立。02年4月から併設型の中高一貫校となる。生徒数は中等部は各学年160名(4学級)、高校は普通科を設置し、各学年200名(5学級)。02年度入試では東京大2名、名古屋大6名、静岡大53名など国公立大に202名が合格。私立大にも多数の合格者が輩出。
住所/静岡県浜松市西伊場町3番1号 電話/053(454)4471
写真 写真 写真
静岡県立浜松西高校中等部教頭
渡邉東一
Watanabe Toichi
中学校教諭、静岡県高校教育課などを経て02年度より現職。「生徒一人ひとりに親身になって向き合う指導を心掛けています」
静岡県立浜松西高校中等部教諭
永田友美
Nagata Tomomi
教職歴26年目。同校に赴任して5年目。02年度より中等部教務主任。社会担当。「生徒が持つ無限の可能性を伸ばしたい」
静岡県立浜松西高校教諭
竹山喜章
Takeyama Yoshiaki
教職歴25年目。同校に赴任して4年目。進路指導主事。地歴担当。「努力は必ず報われる。自分の可能性を信じてほしい」

図

<前ページへ  次ページへ>

このウェブページに掲載のイラスト・写真・音声・その他のコンテンツは無断転載を禁じます。

© Benesse Holdings, Inc. 2014 All rights reserved.