VIEW21 2002.9  コミュニケーション新時代
 生徒との時間をより大切にするために

 00年には校内の情報伝達を良くする目的で校内LANを敷設。コンピュータのネットワーク化が図られたものの、校内LANの維持・管理には「情報処理委員会」がかなりの時間と労力を費やさざるを得ない状況であった。コンピュータの導入・管理にかかる予算も大きくなる一方で、もはや委員会に所属する教師が責任を負える状況ではなくなっていた。
 そこで、校内の様々な問題に対処するために置かれた諮問機関である「プロジェクト委員会」において、情報関連の業務を専門で担当する分掌を設立することが決定し、02年度「情報企画室」が新設された。
 「情報企画室」の取り組みの柱は、(1)ホームぺージでの対外的な情報発信、管理、(2)校内LANを活用した情報伝達網の整備、(3)情報機器の充実、保守管理、(4)情報関連研修の4つ。これらの取り組みに5名のメンバーで当たることとなった。
 「情報企画室の最大の特徴は、進路指導部など他の部と同等の立場として設立されたことです。分掌として独立したことにより、場当たり的ではなく1年後、2年後などの将来展望を描きながら校内・外の情報化戦略を進められるようになりました。また、業務として明確に位置付けられたことにより、責任の所在がはっきりし、担当者の精神的な負担も解消されました」(沖村先生)
 もう一つの特徴として、例えばホームページの運営管理には川崎先生と久守先生が、校内LANを活用した教師間の情報伝達網の整備には川内先生と河野先生がというように、各業務ごとにメイン担当とサブ担当の2名の担当者を置いていることが挙げられる。ノウハウがきちんと引き継がれ、安定的な取り組みができるようにとの工夫である。

掲示板や回覧板の活用で
教師間の情報伝達が迅速・確実になる

 「情報企画室」が設立された時点で、個人所有を含めて既に教師一人にパソコン1台の体制がほぼ整い、校内LANも敷設されるなど、自由に情報をやり取りできる環境は整備されていた。だが、これはハード面でのこと。ネットワークを活用するためのソフトウェア整備や研修などの面ではまだいくつかの課題を抱えた状態だったのだ。学校規模が大きい藤島高校では、各校舎に職員室の分室が置かれ、教師の居場所も分散している。そのため、連絡事項があれば何度も電話をかけたり、広い校舎を走り回らなければならず、教師間の情報伝達に苦労する状況が続いていた。そこで、02年度より「情報企画室」が中心となり、学校現場で使いやすいグループウェアを導入、このソフトを使いながら校内の情報伝達の迅速化と、ペーパーレス化を進めている。主な活用ツールは「掲示板」と「回覧板」。「掲示板」は毎日の行事予定や授業変更の連絡などに、「回覧板」は分掌や学年・教科ごとの連絡に利用されている。
 「ソフトウェアの導入に当たって、操作方法に関する研修を5月の中間考査中の3日間で実施しました。使用の状況は順調ですね。遠く離れた分室の教師とも、掲示板や回覧板によって、以前よりコミュニケーションが取りやすくなったと好評です」(川内先生)
 教師間の連絡時間の短縮、業務の効率化によって生まれた時間は、面談など生徒とのコミュニケーションの時間の確保につながるという、理想的な相乗効果を生み出そうとしている。

写真
藤島高校で活用されている「掲示板」。デジタルカメラで撮影した校内の「時間割変更表」をそのまま掲載している。このような工夫により、手間が省け、ストレスなく運用ができている。教師は自分のパソコン画面ですぐに予定を確認できる。



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