足して2で割る決断は決してしない。 その場で必ず白黒をつける
銀行間の文化の違い。そして異業種間の仕事の捉え方に関する違い……。
「私がリーダーとして、できることは何だろうか――」
今まで培ってきた経験や自分のキャラクターを生かし、組織をまとめていく方法が必ずあるはずだ。そう考えた上田氏が出した結論が「両者の間にうまく入って潤滑油の役割を務めること」だった。同氏は、いわゆる融資やお客様回りという銀行ならではの業務をこなしたのは最初の4年間のみ。その後は、子会社である投資顧問会社で10年間、年金に関する業務に携わってきた。そのため、銀行員でありながらも、年金を扱う生命保険会社の事情もよく理解することができた。
「どちらの事情も知っている自分が潤滑油になって動けば、話し合いはうまくいくのではと考えました。どちらかと言うと私は、みんなが気持ち良く働けるように明るく場を盛り上げていくタイプなんです。意見の違う両者の話をよく聞いて、合理的だと思える方を採用するようにしました」
しかし、潤滑油といっても、上田氏は「決して足して2で割るようなことは今までしたことはない」と断言する。妥協をしてその場はうまくいっても、結局は問題の先送りでしかない。ビジネスの上では、妥協は決して許されない。その場で必ず白黒をつけることが流儀というのが上田氏の理念だ。
(写真上)
東京・日比谷にある三井住友銀行本店。住友銀行とさくら銀行の合併により、日本の4大メガバンクの一つとなった。
(写真中)
J-PECの資料。確定拠出年金について顧客に分かりやすく説明できるよう、資料や図などを多用している。
(写真下)
席はベテラン社員が若手を挟むような形で並べる。こうすることで、若手が気軽に相談しやすい雰囲気をつくりだすことができる。
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