VIEW21 2002.9  新課程への助走

教科の独自性を尊重した作成過程

 シラバスを作成することが決まった01年度夏、「プロジェクト委員会」がまず初めに取り組んだことは全国の先進事例校の研究を行うことだった。しかし、事例そのものがまだ少なく、十分な研究を積んでから作成に入ることは極めて困難だった。そこで、同校では、ある事例校のシラバスをベースとしつつ、それに独自の改良を加えることで、とりあえずはフォーマットの確定を優先することとした。
 「本校が参考にしたある高校のシラバスには『評価方法』の項目がありませんでした。これを盛り込んだのが最も大きな工夫ですね」
 そして、「プロジェクト委員会」でフォーマットが決定した9月、各教科に向けてシラバスの作成が依頼された。三角先生は「その際に重視したのは、とりあえず作ってみようという意気込みでした」と回想する。
 「最初から完璧なものを作るつもりではなかなかうまくいきません。とにかく作ってみることが大切なのですから、最低限のフォーマットを守る以外は特に細かな規定は設けませんでした。実は、シラバス作成が話題に上った当初、校内には『シラバスの作成が教師個々人の授業の自由度を狭めるのではないか』という意見もありました。そこで、シラバスには学習目標や授業進度など、授業を行う上での基本的な事項のみを載せることとし、それ以上の部分も扱いたい教科については、個別に副読本などを作成して対応することとしました。また、各教科の特性に基づいた勉強法などについてはシラバスとは別に『学習の手引き』という別パートを作成して対応することにしました」
 シラバスとその他のパートを切り分ける発想が効を奏し、同校ではフォーマットの確定にいたずらに時間を費やすことが回避できたのだ。

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