3年間の
「指導ストーリー」を作成する上で、「まずは、進路指導のストーリーを作成することから始めました」と言う北川先生。3年間の行事と進路指導、学習指導を照らし合わせながら表を作成。大きな項目を「LHR」「学力診断伸長」「学校行事」「各時期のポイント」に絞り、必要事項を記入していった。
「ストーリーを作成する際に留意したのは、『時期ごとに、生徒をどちらの方向に向かわせておきたいのか』を教師間で明確にしておくことでした。学年団としては、この時期は学習指導に力を注ぎたいけれど、進路指導課としては、小論文指導に力を入れたいなどというズレはどうしても出てきます。でも、そのような状態で、各教師が生徒にバラバラのことを言っても、生徒は混乱するだけです。時期ごとに『本当に生徒に必要なのは何か』を確認し合いながら、ストーリーを作っていきました」(辻田先生)
その結果、今まで気付かなかった課題や行事の重複が解消され、いつ何をすべきかをすべての教師で共有することができるようになった。
「従来は、学年団によって、指導の目標がまちまちでした。しかし、『指導ストーリー』を作成することによって、大きな進路指導目標、学習指導目標を学校全体で共有することができるようになりました。年ごとにノウハウを積み上げていくことができるようになったのです。現在は、2年生の担任が3年生の担任と指導内容について相談する場面が、確実に増えてきています」(木下勉先生)
つまり、同校では、「指導ストーリー」が、教師間のコミュニケーションツールとしての役割を担うことになったのである。
その後、同校では、進路指導ストーリーの成功を経て、3年間の学習の流れを記した「アクションプラン」が作成された。また、さらに緻密な進路・学習指導が要求される3年生では、「ガイド・ピリオディック」という約1か月ごとの進路・学習行事だけでなく、時期ごとの生徒の心理状態や、面談の指導案、進路指導の注意点などをまとめたプリントを配付し、教師間の意識の共有化に役立てている(資料1参照)。新任の先生でも、これを確認すれば、同校の進路指導のポイントが俯瞰できるようになっているのだ。
約1か月ごとに進路指導課が作成し、3年生の教師全員に配付している「Guide Periodique」。わら半紙の表裏に、1か月の行事、進路・指導事項、生徒の心理、個人面談のアドバイスなどがぎっしりと載っている。これにより、各教師の指導に対する意識が共有されている。
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