入学後の成績追跡調査では AO入試合格者の成績が上位に
入試説明会の時、多くの教師が興味を示すのが入学後の成績追跡調査だという。東北大工学部が行った調査によると、AO入試II期で合格したうちの6割から7割の学生が、学年の成績上位30以内に入っているという結果が出ている。
さらに直接、学生の指導に当たっている教官からも、AO入試II期の学生は「研究室でリーダーシップをとれる資質を持っている」「研究に対する取り組みが意欲的」などの高い評価を受けているという。
「追跡調査によると、最も成績が良いのがAO入試II期で、次がセンター試験を課すAO入試III期。そして一般入試合格者の順番になっています。AO入試というと、一般入試では合格できない生徒が利用する入試制度というイメージが広がっていますから、その先入観を打ち崩すためにも追跡調査の話をすることは大切なんです。データを見て、意外そうな顔をされる先生も少なくないですからね」(鈴木教授)
入学前教育で生徒の学習意欲を維持する
東北大のAO入試を通した高大連携の試みは、入試制度やアドミッション・ポリシーを、入試説明会や高校への個別訪問時に丁寧に説明することだけにとどまらない。工学部では、AO入試II期の合格者を対象に、入学前教育を今年度から導入している。センター試験を課さないAO入試II期の場合、合格者の発表は毎年12月に行われており、合格から入学までの数か月間の生徒の学習意欲をいかに維持するかが大きな課題である。そこで工学部では入学前教育として「自由研修」「工学英語学習」「数物演習」の三つの課題を生徒に提示し、その中から二つに取り組ませることにしたのだ。「自由研修」は自分が興味を持っていることを基にテーマを設定し、アイディアを練りながらレポートを作成するというものだ。希望があれば工学部教官のアドバイスも受けられる。「工学英語学習」と「数物演習」(図表1参照)はテキストを与えられ、電子メールやファクシミリなどで教官の指導を受けながら問題に取り組んでいく。
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