VIEW21 2002.10  新課程への助走

高校現場の事例2
国立筑波大附属駒場中・高校の場合

シラバスにおける「学習目標」の意義を追求

 筑波大附属駒場中・高校で英語を担当する久保野雅史先生は、以前からシラバスに準じた独自のプリントを作成し、授業に活用してきた。今回はそのプリントを基に、シラバスを作成する上でのポイントや留意点についての見解をうかがった。

学習目標の明示がシラバスの有効性にかかわる

 「シラバスに最低限必要なのは学習目標の明示です。1年間、あるいは3年間学んだら何ができるようになるのかを、生徒や保護者に伝わる言葉ではっきりと示すことが大切です」
 シラバス作成上の留意点を語るに当たり、久保野先生はそう強調した。
 「例えば、その年度の学習目標そのものが具体的でないと、それが達成できたかどうか検証できません。また、目標を達成するための手法が適切だったかどうかを検証することも、目標が曖昧なら不可能です。ですから、私の担当科目である英語であれば、『1学期が終わったら英語で1分間自己紹介ができる』といった目標設定が必要になるでしょう」
 このような前提に立って、久保野先生はシラバスの役割を次のように定義する。
 「授業を行う上では、生徒にこういう力を身に付けさせたい→そのためにはこのような手順・方法が求められ→生徒にはこのような学習方法が求められるだろう、という言わば仮説のようなものが必要になります。そして、この仮説を検証可能な形で明示したものこそがシラバスと言えるでしょう」(資料3
 その意味で、久保野先生が考えるシラバスとは、精緻な指導計画のことでは決してない。むしろ、明快な学習目標と、それを実現するための方法さえ明示されていれば、それは十分シラバスとして機能しているということになる。
 「例えば、英語で言えば『聞く』『話す』『読む』『書く』の4技能のそれぞれで何ができるようになるのか、そして、そのためにどのような手法を用いるのかが明確に示してあれば十分と言えます」

図

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国立筑波大附属駒場中・高校教諭
久保野雅史
Kubono Masashi
教職歴20年目。同校に赴任して15年目。「『厳しくても力の付く授業は楽しい』がモットーです」

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