目標→指導→評価の流れを意識した評価規準の設定
こうした経緯で作成された、大阪府教育センターの国語のシラバスを下に示した(資料5)。「評価のポイント」に目を向けてみると、「筆者の考えを自分のことばで理解しているか」「聞き手に分かりやすい表現を工夫しているか」など、確かに従来の評価規準とは視点の異なる評価規準が目に付く。だが、それ以上に注目すべきは、これらの評価規準が「単元・教材名」や「指導内容」の項目と密接に関連していることだろう。例えば、
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「筆者の考えを自分のことばで理解しているか」という規準においては、「随想」を読み解くことで「筆者のものの見方や感じ方、表現の仕方を理解する」という流れ
- 「聞き手に分かりやすい表現を工夫しているか」という規準については、「話す聞く スピーチ」の指導を通して「課題に応じた内容と話し方を工夫する」という流れ
が、明確に読み取れるのである。国語のシラバス作成を担当した門田主事は、作成段階でその点を強く意識したことを強調する。
「目標→指導→評価という流れは表裏一体のサイクルです。評価規準は単独で成り立つものではなく、あくまでもこのサイクルに則ったものでなければなりません。国語の場合、シラバスに指導内容を落とし込むのは難しいと言われていますが、教科書の単元切りで評価規準を示そうとすると、そうしたジレンマに陥ってしまうでしょう。『聞く』『話す』『読む』『書く』といった基本的な技能の育成を視野に入れつつ、いかに到達度を測れるような評価規準を考えるかが今後問われていきます」
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