VIEW21 2002.10  特集 進む「理科離れ」と理科教育の展望

Part 2
理科離れを防ぐための学校現場での取り組み

 「科学技術・理科大好きプラン」の内容・今後の展望と、スーパーサイエンスハイスクールに指定された岡山県立岡山一宮高校の事例を紹介する。

写真 写真
文部科学省 初等中等教育局教育課程課 学校教育官(併)環境教育調査官
前田克彦
Maeda Katsuhiko
文部科学省 科学技術・学術政策局 基盤政策課 課長補佐(当時)
次田彰
Tsugita Akira

【1】「科学技術・理科大好きプラン」の概容と今後の展望

 「科学技術・理科大好きプラン」は、科学好き、理科好きの生徒を増やすためのプランである(図1参照)。その内容と今後の展望について文部科学省の前田氏と次田氏にお話をうかがった。

図

( 内容 )

 「科学技術・理科大好きプラン」は4つの施策から成り立っている。
 「新規施策の中で社会的に注目を浴びたのは、『スーパーサイエンスハイスクール(SSH)』の指定です。これは、理科、数学に重点を置いたカリキュラムの研究開発や、生徒の知的好奇心を育むための指導方法、大学や研究機関との効果的な連携方策等の研究開発に取り組んでいただくもので、実施期間は3年です。そして、もう一つの目玉が、『サイエンスパートナーシッププログラム(SPP)』と呼ばれる施策で、研究機関や大学、企業と、学校現場の連携を支援するものです。第一線で活躍されている研究者・技術者による特別授業や、大学などの研究施設を活用して発展的な学習を実施する際の支援を行います。また、教師を対象として、最先端の科学技術を学ぶ研修も実施する予定です。実施機関の選定方法は、学校、教育委員会、研究機関、大学などから計画を募り、文部科学省の有識者会議で選定する形です。単発的な講演を聴かせるだけではなく、例えば、複数回に分けたプログラムにするなど、少し継続性のある企画に対して支援を行っていきたいと思っています」(次田氏)

( 今後の展望 )

 「全国各地に、理数教育に意欲的なたくさんの学校があり、先生方がいらっしゃいます。そのような学校や先生方の支援をしていきたいというのが、このプランの目的でもあります。特にSSHに対しては各方面から大きな期待が寄せられています。理科、数学に興味・関心が高い生徒の個性や能力を一層伸ばしていくことは重要だと認識しており、SSHは、今年度は26校指定しましたが、次年度は50校に拡大する予定です。
 また、SSHやSPPで得た成果は、できるだけ地域や他の学校にも還元していきたいと考えています。例えば、論理的な思考力を高めるための指導方法や教材の開発、大学や企業との連携方法の研究などです。また、生徒の興味・関心がどのように変化したか、教師の意識はどう変わったかなどを発表する機会もつくっていきたいですね。SSHに指定されていない高校でも、新課程では、学校の創意工夫で特色のあるカリキュラムづくりが行いやすくなっています。このような制度や機会を活用することも含め、それぞれの高校に合った形の理科教育を工夫し、実践していただきたいと考えています」(前田氏)


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