進路選択の情報源として 大学のホームページが高校生の支持を獲得
ITを活用した入学広報が充実してきた背景として、高大連携の動向を無視することはできない。
99年末に発表された中央教育審議会答申では、「大学がその求める学生像や教育内容等の情報を的確に周知するための方策」として、インターネットのホームページ活用の重要性を謳っている。その中で大学のアドミッション・ポリシーを明確に伝えると共に、様々な施策を通じて高校生の進路選択に必要な情報の提供と支援を求めている(資料1参照)。
ホームページの充実は先に述べた通りだが、例えば大学教員による講義、いわゆる「出前講義」等の高校での実施件数も、99年度の254校から00年度には977校に、02年度には1291校にまで増加している(文部科学省調査)。
さらにIT活用に拍車をかけているのが、「読者」となる高校生の意識と評価である。大学・学部の決定時に影響を受けたものとしては「大学案内」や「進学情報誌」、先生や保護者、先輩の勧めなどの要因が依然高いが、「大学満足度」とのクロス集計を取ってみると事情は異なる。それを示したのが資料2だ。
これを見ると、総合評価では「大学のホームページ」が「進学情報誌」や「高校の先生の勧め」より上位となってくる。入学前に、大学のホームページを利用して情報を入手している生徒ほど、大学入学後のミスマッチングが少なくなるということだ。
現在の高校現場のインターネット環境は必ずしも満足のいく状態ではないが、高校生のニーズは非常に高い。今後「ミレニアム・プロジェクト『教育の情報化』」(文部科学省が推進。公立校における校内LAN、パソコンの普及、インターネット環境の改善など)が進み、「総合的な学習の時間」の本格稼働を契機に大学のホームページを活用した学部・学科研究がより盛んになれば、高校生のニーズもさらに開拓されていくことだろう。インターネットの回線がより充実してくると、まるで双方向型テレビ番組のような情報をインターネットで配信することも一般的になる。「オン・デマンド配信」と呼ばれるものだ。大学では、生涯教育や社会人教育を睨みながら開発しているが、仮に大学の講義(あるいはそのダイジェスト版)をいつでも好きなときに自由に見ることができれば、進路学習はより具体的、体験的になっていくことだろう。
<前ページへ 次ページへ>
|