ワン・ツー・ワンのツールUnivDirectの分析から 高校生の意識を探る
進路研究のストーリーに即した情報提供、出願をはじめ入試まで行っている大学のホームページ。大学は今、一人ひとりの高校生とコミュニケーションを図ることで自校を受験生にアピールし、深く知ってもらおうとしている。これに呼応して、高校生も直接、大学とメールなどのやり取りを行い、コミュニケーションを深めようとしている。
Benesse High School Online のコンテンツの一つである「UnivDirect」は、大学と高校・高校生をつなぐコミュニケーションツールとして、ワン・ツー・ワンの情報提供を行っている。高校生からの質問に対し、指名の大学(あるいは任意の参画大学)から回答が返ってくるシステムだ。高校生と大学とのコミュニケーションの内容と動向を、UnivDirectのデータから分析してみよう。
今年3月から10月までの集積データ(433件)によれば、質問する高校生に地域的な偏りはない。全体の約65%は高校3年生で、2年生は約15%、1年生が9%となっている。質問内容で圧倒的に多いのが「学部・学科の内容」に関するもの。次いで「資格取得」「一般入試」「推薦入試」となっている(資料3参照)。高校3年生だけに絞ってもこの傾向に変化はない。学問(学部・学科)、就職(資格)、入試が3大ニーズというわけだ。
進路選択・大学選択のためのコミュニケーションツールとして機能しているUnivDirect。
いくつか具体的な質問内容を見てみよう。「希少動物の保護や絶滅動物の復元などに将来取り組みたいのですが、そのためにはどのような学部・学科であればいいのですか?」「教育学部英語英文科では、教員養成のための授業の他に、通訳や翻訳、英語の運用能力を高めるための講義はありますか?」「気象予報士になるための勉強ができるでしょうか?」「認定心理士と臨床心理士の違いは何ですか?心理学科に行っても精神保健福祉士の資格を取ることは可能ですか?」「面接ではどのような質問をされるのですか?」「法・政治系学部は一般入試に基準点があると聞いたのですが、どの科目に何点の基準があるのでしょうか?」(以上、一部文章省略)。
進学情報誌や資料を探しても見つけにくいような具体的・個別的な質問が総じて多い。大学は、こうした高校生の疑問に親切・迅速に答えてくれるのだから、高校生の満足度は高い。また積極的に質問してくる高校生の態度を大学は評価している。こうしたコミュニケーションを通じて、高校生の進路意識が明確になってくるのは想像に難くない。
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