【3】COE構想 競争原理と外部評価の導入に一定の役割
先日選考結果が発表されたCOE(center of excellence)プログラムは、『遠山プラン』において発表されたトップ30大学構想を原型としている。当初の案に比べるとかなりの変更があったものの、その目指すところはあくまでも、世界水準の研究レベルを持つ大学を重点的に育成していくことにある。
このプランの特徴としてまず挙げられるのは、これまで「護送船団方式」と呼ばれるほど横並びだった大学間の関係に競争原理を持ち込んだことであろう。もちろん、国立大の研究関連の予算配分にはこれまでも、申請書の提出→選考という流れは存在したが、その過程は非公開であった。これに対し、COEプログラムでは公立大・私立大にも出願が認められ、選考過程のかなりの部分が公開された。閉鎖的な大学の環境には、以前から競争原理と外部評価の導入が求められていたが、COEプログラムはその役割を一定の範囲内で果たしたのではないだろうか。
また、研究費を研究者個々人に対して支給するのではなく、研究ユニットに対して配分したことにも注目すべきだろう。今回のCOEプログラムの選考結果を巡っては、「旧帝大をトップとする大学間のパワーバランスは何ら変わっていない」という論調がマスコミなどでも根強い。しかし、「学際・複合・新領域」などの研究では、地方大の学部の枠を越えた共同研究や、必ずしも「研究型」の大学ではない私立大が、旧帝大や有名大を押しのけて指定を受けているケースも見られる。こうした事例を決して過小評価すべきではない。高校現場においても、生徒の大学選択の視野をより広げる指導が必要になるのではないだろうか。
もちろんCOE構想については、本来の「研究拠点の育成」という目的を離れて、大学の評価が勝手に一人歩きするのではないかという危惧もある。すなわち、大学の序列化の拡大につながりかねない危険性があるのだ。また、研究能力を評価する以上、これまで高い研究実績を上げている大学が選ばれやすいという面は否定できない。こうしたデメリットをどう解消し、公正な競争的研究環境をどうつくり上げていくかが今後の課題であろう。
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