【議論3】法科大学院・専門職大学院構想 大学院進学も視野に入れた指導が必要
「やり直しのできる社会」は実現する?
高田 まず法科大学院についてですが、法学部を持たない大学が名乗りを挙げたり、他大学と連合しながら参加する大学が現れるなどの動きがあります。また、新司法試験は大学入試センターが適性検査のような形で作成するといった動きが伝えられています。高校現場では法学部入試の動向が最も直接的に関連するわけですが、法科大学院を設置する大学は、学部段階の募集定員を減らす方向にあります。入試の激化が予想されますが、高校現場ではどのような動きが見られるのでしょうか。
岩瀬 法学系を志望する生徒は法科大学院のある大学へと間違いなくシフトしていくでしょう。逆に言うと、法科大学院を持たない大学は、特に成績上位者から急速に見放されていくのではないでしょうか。しかし一方で、あらゆる分野で「人生のリターンマッチ」ができるようにする、という大きな社会の流れの中で法科大学院を捉えることも必要です。もし法科大学院が、その大学の学部の卒業生しか受験できないものになるならば、それは時代に逆行したものだと言えるでしょう。ですから、法科大学院に限らず、学部入試に加えてもう一度、大学院入試の段階でチャンスがある、という形が大切だと思います。もし、こうした形ができなければ、それこそ18歳で人生が決まるという状況が現出しかねないでしょう。
天野 他大学の卒業生も受験できる予定ですし、「他大学枠」という形で受入数を制限するようなこともないと思います。むしろ問題になるのは、2年制の法学既習者の枠と、3年制の法学未習者の枠をどのように配分するかです。と言うのも、どちらかの枠が少なすぎた場合、激烈な受験競争が発生して、予備校に行かなければ合格できないような事態が起きかねないからです。これでは現在と変わらないどころか、修了年限が2年もしくは3年延びている分だけ、事態が悪化してしまうことになります。また、司法試験の受験資格は、法科大学院を卒業していない人にも開放される予定ですが、この点への対応を誤ると、予備校への依存体質が益々強固になってしまうかも知れません。
|