VIEW21 2003.2  VIEW'S REPORT 当世修学旅行事情

【改革の経緯】
学校改革全体を踏まえて修学旅行を見直す

 和歌山高校は、78年に設立された和歌山市内では比較的新しい高校である。設立当初普通科高校であった同校は、生徒個々人の多様な能力を伸ばすことを目標に、94年度より総合学科制を導入。以来、地域研究や課題研究をいち早く授業の中に取り入れるなど、積極的な指導改革を進めてきた。
 同校が修学旅行を「総合学習」の一環として実施するに至ったのは、このような一連の改革の流れを受けてのことだ。「総合学習」の企画・立案に深くかかわってきた高田晴美先生は、その経緯について次のように語った。
 「本校では総合学科制に移行して以来、自己の適性を見極め、自分に合った進路を選択できる生徒の育成を目標に一連の指導改革に取り組んできました。修学旅行の見直しも、こうした大前提を踏まえて行われました」
 99年に修学旅行を見直す際に問題となったのは、それが特別活動の学校行事として完結しており、事前・事後の取り組みにつながる学習効果を十分にもたらしていなかったという点だ。
 「旅行のしおりなどを使った事前学習は以前も行っていました。しかし、沖縄の歴史や文化を学ぶといっても深く踏み込んだ内容でなかったため、修学旅行でせっかく沖縄の自然や文化に触れても、生徒の多くはただ『楽しかった』という感想しか持てていないようでした。貴重な体験を、さらに教育課程全体に生かせるような特別活動の見直しが必要だったのです」(高田先生)
 こうした問題意識に基づき、同校の修学旅行に関する議論は「特別活動の見直し」という視点だけではなく、「総合学習」の先行実施や、教科学習の見直しに関する議論も含めた広い視野を持ちながら進められたのである。以下、具体的な同校の取り組みを見ていきたい。

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事前学習には市販の教材やガイドブックの他、教師が作成した独自の教材も活用される。



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